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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第45章 【深緑色】オープン・クエスチョン




――――……



職場体験3日目



例のファイル1冊分
そこで区切りをつけた私はこの日
初めて仕事として外へ出た。

時間の割に明るい街道を
車で走る事、40分。

ミミちゃんに
クラスの女の子たちに
焦凍に

返信と言う名の報告をしながら
また一つLINEを送った。


【保須警察署へ行くことになりました】


「どうして?」「気を付けて!」
色々な返事が返って来る中で
焦凍からの返信だけがなかった。
既読にすらならなかった。

読んでないのかも
通知だけ見て怒っているのかも

とっくに太陽が隠れてしまった方角へと向かいながら
言いようのない不安に襲われた。

すぐにバックライトを消したにも拘らず
薄暗い車内にまた一つスマホのライトが灯る。

その度に期待してしまうのは
焦凍の返事を待っているからなのだろう。

だけど…
また違った。


「緑谷、くん?」


しかもとても珍しい人。

一括送信で送られてきたそれにあるのは
位置情報のみで、酷く不可解だ。

不安に満たされた頭を大きく傾げ
その場所の住所を目を細めて見た。

地図上の矢印が差しているのは
西東京、保須市で…


「江向通り4-2-10…
ここって…飯田くんの……」


職場体験先に近すぎる…。

脳内の不安が霧散した
代わりにドンと居座った本日のクエスチョン。

チラと逸らした窓に思い描く

あの真面目な緑谷くんが
意味無くこんな事するだろうか?

そもそも彼の職場体験先は
山梨県で…東京都じゃない筈…。


(恐らくは…)


指先を下唇に当てながら
フムと唸る。

私同様
職場体験先の都合で東京へ出たのだろう…。

ならば尚更不可解だ。
保護監督者が側にいるはずなのに…。


(なのにメッセージの一つもなく
位置情報のみ…。)


その意味は
その真意は…?

瞬間
運転席のヘッドレストを両手で掴んだ
助手席に座る刑事さんが何事かと振り返る。


「…すみませんッ!
保須警察署へ連絡して頂きたいんですが――…」


嫌な予感を乗せたまま
覆面パトカーは夜道を西へと進む

音楽もラジオもかかっていない車内で
手元の薄っぺらな機械が
フツリとその灯を消した。

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