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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第45章 【深緑色】オープン・クエスチョン




出したクラスメイトの名に
ハイリの息を飲む音が聞こえた気がした。

実際のトコは
不自然な沈黙だけだ。

例え聞こえてなくともこんだけ黙り込めば
俺じゃなくともわかる。


(当たり、か…。)


もはや嫉妬かどうかもわからねぇ感情に
出んのは己に対する溜息
残りは皮肉にも近い言葉だけだ


「今度は飯田か…。」

『ホントに、そゆんじゃなくて…』

「どうだろうな…。」

『だからっ、ホントにっ!』


本当なんだろう
調べた理由は違うというのも
飯田の事を考えてたのも

両方、事実なんだろう。

じゃなきゃこんなに慌てるはずがねぇ
…ったく電話越しでさえ
ここまで感情が駄々洩れな人間も珍しい


(普段はやたらと冷静な女だが…。)


相手が俺だからだと
自惚れて良いとこだろうか

「違う違う」とまくし立てられる度に頬が緩む。

可愛くてしょうがねぇ

だが
だからこそ
この話は別だ。

刺す釘の深さは
深いに越したことはねぇ…。


「今回は相手が悪ィ
例え患者の為とはいえ、突っ走んな。」

『でも…』

「でもじゃねぇ」


出しかけた反論は
聞く気は無ぇと遮った。

なんたって相手は
プロヒーローですら手を焼くヒーロー殺しだ。

気持ちはわかる
ここ最近の飯田の雰囲気は
どこか、鬼気迫るものがある。

表情は硬く
姿勢は前のめり

まるで


(俺自身を見ている気分だった…。)


俺ですら気になってんだ
ハイリが心配しないワケがねぇ

そして
一度患者と定めちまったら
どこまでも矢面に立つんだコイツは

強めに言い聞かせても言い足りねぇ

なんせこの女は
一度言い出したら
簡単には折れねぇ頑固者

我ながら卑怯な言葉を選ぶ
その優しさに付け込んで


「お前にもしもの事があったら
誰が一番荒れ狂うのか、よく考えろ。」

『…………はい。』


案の定
間を置いて返って来た返事は
小さく
絞んだモンだった。

納得できねぇだろうがそれでいい
何も警視庁に行ったお前が出ていく事はねぇ

ンなことしなくたって


「心配すんな
今や話題のヴィランだ
お前が動かずとも、ヒーローたちが動く。」


駆けた言葉は慰めじゃねぇ
紛れもない事実だ。


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