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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第45章 【深緑色】オープン・クエスチョン




『ヒーロー殺し?
また物騒なの追ってんな…。』

「違う違う、追ってるんじゃなくて
ちょっと気になって…。」


職場体験二日目

結局
昨夜は調べものと資料に追われて
誰とも話せないまま
泥のように眠ってしまった。

そんな私は起きて早々
着信件数が一番多い人物へと
お詫びも兼ねて電話を掛ける羽目となる。


『お前が会いてぇなんて言うから
なんかあったのかと思ったんだが…。』

「ごめん…。」


焦凍に関しては
着信どころじゃなかった。
LINE件数が半端じゃなかった。

随分心配をかけてしまったのだろう
よくよく忘れそうになるけれど
この人、結構…


『危ねぇ事に…首、突っ込むなよ?』


過保護なんだよね。

少しトーンの下がった声
普段より強めの語気

見えた気がした。

上からジロリと私を見下ろす
細められたオッドアイが…。


「ハィ…。」


満面に苦笑
冷や汗はダラダラだ…。


(見抜かれてる…。)


昨日あれから
ネットでヴィランについて
検索してみたのは良かったんだけど

「ヴィラン」と打ち込んだにもかかわらず
ヴィラン連合よりも上に表れたその名に
私は唇を噛み締めた。


――――

ヴィラン ヒーロー殺し
ヴィラン ステイン
ヴィラン ヴィラン連合

――――


ヒーロー殺し ステイン


過去17名ものヒーローを殺害し
23名ものヒーローを再起不能に貶めたヴィラン。

飯田くんのお兄さんインゲニウムを
瀕死の重傷にせしめたヴィラン。

最初に浮かんだのは勿論
クラスの委員長、兼、昔なじみの顔だ。


(飯田くん…。)


インゲニウムが重傷を負った体育祭から
彼の様子はどこか変だ。
まるで―――……


『…ぃ………て…か?
オィ、聞いてんのかハイリ?』


遠くに行きかけた
意識を呼び戻す声

わざとらしく声音を落とし
あからさまに伝わってくる感情は
不機嫌以外の何物でもない。


「は、はい!
聞いてます!」

『聞いてねぇな…』

「はい!
ごめんなさい!」


慌てて返事をしたけれど
謝ってもみたけれど
返って来るのは大袈裟なまでの溜息のみ

数秒の沈黙の後
その声は
私の頭の中を
ピタリと当ててしまった。


『オマエ今、飯田の事考えてただろ…』


もう
この人に隠し事なんて出来ないんじゃなかろうか…

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