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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第44章 ♦番外編♦ Xmas シンドローム




「ゆーえーって高校、だよね?」

「だろうな、先生の家っつってたし
教師寮の事だろうな。」

「北のずっと一番奥って何だと思う?」

「さぁな…行きゃわかんだろ。
急ぐぞ…。」

「うん…っ」


帳が降り始めた雑多の中を駆ける
その目にはもう
見慣れないポスターも好奇の目も映らない

目指す場所に目的は二つ
あの子たちとの約束を守る事

そして
誰かはいるであろう
その誰かに相談する事

不安も疑問も
抱えるのもそれからだ。

山の頂上、校舎の向こう側の空は
既に赤が射し始めている

西へと傾いた橙は青の中煌々と
まるで昨日のキャンドルの様

一日の終わりを告げるその灯も
目的地に着く頃には
西の空で燻っている程度に小さくなっていた。


「北…って」

「こっちだろ、あっちが西なんだからな。」

「そか、そうだね…。」


灯を左手にまっすぐ進む轟…

言われたから来てみたものの
この先何があるとも思えない。

薄暗い中響くのは
枯れ木を踏みしめる音だけだ

パキ、と乾いた音が鳴る
またパキと

茶、一色の世界で乾いた音を鳴らし
握りしめられていく手を握り返し
進む事十数分―――…


「ここで、何を見ろってんだ?」

「え……?」


…―――辿り着いた最奥

突き当りと言われた場所にあるのは
道中と同じく
寒そうに枯葉を揺らす木々のみだった。


「アイツ等言ってたろ、
『見えなくなったら大変だ』って。」


初めは子供たち自身への言葉だと
轟もそう理解していた。

だが
今思い返してみると
あれは自分たちに向けられたものとも受け取れる。


「何かを見て欲しいか
見つけて欲しいか…その辺だ。」


特にどうしろとは言わなかった
掘れとか、登れとか
必要なら言うはずだ。

そこまで考えて思考が止まる…


(登る――…?)


昨夜の記憶が蘇る
本当なら今日、探す予定だったもの

弾くように瞳を上げ
見上げたその先…
声を上げたのはハイリと同時だった…。


「あれか……。」

「ヤドリギ…だ……。」


そこには枯れ木に大きな実でもつけるかのように
細い枝に不釣り合いな大きな丸い影

明るければきっと
青々と茂っているであろう言い伝えの木が――…


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