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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第44章 ♦番外編♦ Xmas シンドローム




……―――――



「「…………………」」


次の瞬間
開かれた二人の視界に飛び込んだのは
見覚えのある雑多の風景
それが違和感以外の何物でもなかった……。


「なんで…」

「街に……」


今の今まで雄英高校の校舎に居たハズが
気付けば山を飛び降りて
街中の歩道で手を握り合っている

何事もなく紡がれている街中で
首を回せば遠くに見える雄英高校

対した距離ではない
歩いて戻れる距離ではあるが…

酷く不可解――


「個性事故だな…。」

「……だね。」


――でもなかった。

“個性”の暴走や
“個性道具”の暴発
それらが引き起こす事故

そんなものはこのご時世
大して珍しくもない。

大方、瞬間移動系だろう…

溜息をついた轟は
前髪をかき上げた手をハイリへと差し出した。


「メンドクセェが戻るぞ…」


『ハイリ』と呼び掛けてふと止める
彼女の表情に
その驚愕の表情に

見開かれたその瞳
その先の特大ポスターに



振り返りかけた後ろ姿の男の肩に顎を埋め
その肩越しに蕩けんばかりの笑顔を
こちらへ向けるのは亜麻色の瞳

綺麗に弧を描いた唇には
瑞々しいアプリコットオレンジが
更には男の頬に
同じ色のキスマークまで付いている

ふわりと揺れる髪の動きまで見えそうな
新作ルージュのポスター


『その瞬間
私はあなたの姫になる――』


そんな物を見せられて
その上こんなキャッチコピーまで読まされて
この男が黙っているはずがない

差し出した手は即座に
同じ亜麻色を掴んだ


「説明しろ」

「知らないよっ!」


言葉は短く
目も鋭い

『聞いてねぇぞ』そんな言葉が聞こえてきそうだが
ハイリとて身に覚えがない

第一
一緒に映っているこの男


「大体ッあの紅白ッ!
あれ焦凍でしょ!?」

「知らねぇ。
別の紅白だろ。」


親指で指し睨み上げる
その顔はえらく不機嫌だ

正面から映っているだけあって
自分はなんだか否定しにくいというのに…


(この上なく理不尽…ッ!)


たしかに男の姿は正面からじゃない
だが見間違えるはずもない

その背もこの横顔も

世界広しと言えど
こんな素敵な人が二人と居て堪るもんですか

ハイリは負けじと言い返した。


「私が焦凍を見間違えるわけないでしょ!?」

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