第44章 ♦番外編♦ Xmas シンドローム
翌朝の空は眩しかった。
扉を開けて飛び込んでくるのは
光のつぶて
一面白の世界であちこち飛び交うそれは
あまりに目に痛く
ハイリはギュッと目を瞑る。
先を歩いていた轟にぶつかって
尻もちをつき
やれやれと起こされる。
昨夜とはえらい変わりようだ
丸きり逆の関係
それが二人の絆
二人の距離
「お手をどうぞ?」
そう言いながら差し出された手に
ハイリは小さくはにかんだ。
出逢った日も思った
王子様のような人だと。
恭しく手を取られてのエスコート
向かう先は色気もへったくれもない
いつもの学校だが
(幸せ…っ)
なんとも締まりのない笑みを浮かべ
ハイリは小さな幸せをかみしめていた。
きっと何があっても彼と一緒なら平気だ。
それはさながら
ヴァージンロードでも歩くかのような気持ちで歩を進めていく。
その先に
何が待ち受けているかも知らずに…。
「私服で良かったのかな?」
「良いんじゃねぇか?
冬休みだし。」
冬休みに入ったばかりの校舎は静かだった
いつもとは違う廊下を進むこと数分
重そうな鉄の扉の前に立つ
扉の上、掛け看板には
『Development Studio』の文字
そう、ここが開発工房。
採掘ヒーロー パワーローダーの城
施設の建設・補修・修繕から
ちょっとしたサポートアイテムの調整までなんでもござれ。
取り扱っている道具も様々
半ば実験場所でもあるここは
ヒーロー志望として、縁を切りたくとも切ることはできない
「にしたって焦凍のコスチューム
今回はどんな改良してもらうの?」
…――そういう場所だ。
重そうな扉に手をかける
開かれた部屋は相も変わらず秘密基地の様
器具に機材、工具にCP
繰り広げられている
教師と生徒の口論も相変わらずだ。
「発目!! それに触るなッ!!」
「ンなーにを仰いますパワーローダー先生
失敗を恐れては何も産まれませんっ!!」
爆発の前に戦争でも起きてしまいそうだ
見慣れた風景にハイリは苦笑を零す。
口を開きかけた時だった
「あの、パワーロー……」
一体何の誤作動が起きたというのだろう
瞬く間に光が来訪者二人の身を包んだ。
それはは白から黄、橙へと発光し
二人の視界を奪う
そして
遂に、ついには――…