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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第6章 【桜色】物言えぬ処方箋


~Sideハイリ~


つらつらと説明を続けてはみたけれど
轟くんはどこか上の空だった。
それでも私の言葉に「ああ」とか「そうだな」とか相槌は返ってくるし、それなりに聞いてたんだと思ってたんだけど。


「なんでそうなったんだ?」


全然聞いてなかった。
それだけは分かった。

言葉だけ聞くと驚いている様に思えるけど、
目の前の顔にそんな色は見えない。
と言うかこの人、表情の変化が乏しいからわかりにくい…。

ガヤガヤと賑わしいはるか前方を気にしつつ
私は一つため息をついてもう一度説明をすることにした。


「だからね? その『消太くん』、私が普通科に居ることが気に入らないのよ。」


気に入らないなんてレベルじゃない。

雄英の推薦を蹴ったあの日から今日に至るまで
あの人からの連絡の量は計り知れない。

LINE、電話、まさかの封書
私はその全てを無視し続けている。

怒っていないハズがない。
蹴った事を怒っているのか、無視したことを怒っているのか
今となってはそれすらわからない。


…………ゾワリ
粟立つ肌は春の朝には似つかわしくないものだ。
今日は雲が多いから?
絶対そんな理由じゃない。


校内じゃまだ見かけてない。

居るという保証はないけれど
居ないという保証もない…

どうか関係の無い所で3年間を無事乗り切らなければ。
平穏な高校生活を送るための絶対条件
それを満たす為の子供の浅知恵が
静かに、私の頭の中を巡っていた。




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