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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第6章 【桜色】物言えぬ処方箋


~Side轟~


『あんたはハイリの側にずっと居てやっとくれ。』


ふと思い出したのは入学初日
メガネを忘れているハイリを追い掛けようと、リカバリーガールに背を向けたときの言葉だ。
あの時は「突然何を」と思った。

だがその疑問は問う間もなく解消された。


『あの子にとっちゃここの教師は家族みたいなもんさ。
そう仕向けたんだ。あの子がここを選ぶようにね。』


まるで何も知らない娘を騙してるかのような口ぶりだった。
つまるところ、ハイリは教師陣の思惑なんざ何も知らず、純粋に家族の様に慕っている…ってことだ。


(やべぇな、口を滑らしちまった。)


隣を歩くハイリは不思議そうにこっちを見上げているだけで、特に不振がっている気配はない。
この時限りはとぼけた奴で良かったと安堵する。

だがこれ以上詮索するのはよした方がいいと、心に決めた時だ。
事もあろうかハイリ自ら話を広げ始めた。


「消太くんはね、雄英関係なく知り合いでさ。
あ、ちよちゃ…リカバリーガールもなんだけどね?」


静かに焦る頭で思ったのは


(どっかで聞いた事あんな…。
似てるからか?)


その程度だった。



雄英ゲートまでの長い並木道。
突き当りの人だかりは今日こそはオールマイトに取材をと
息巻くマスコミだろう。
昨日も一昨日もそれなりに居たが、今日は一段と多い。

聞けば聞くほどハイリを傷つけちまいそうで
隣の話はそこそこに…

頭はもはや『如何に精神力を浪費せずアレを抜けるか』
その一点に集中していた。

だから理解できずとも仕方のない事だ。


「だからね、学校では付き合ってる事伏せて欲しいの。
距離を置きたいと言いますか…。」


なんでこんな話になってんだか…。


ここ二日の快晴と比べりゃ今日は少し雲が多い。
日差しはあるにもかかわらず肌寒く感じたのは
きっとその雲のせいだ。

そんな事を考えられる程度には
頭は回っていた。




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