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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第43章 ♦番外編♦ Xmas Eve シンドローム




「…………へぁ?」


よく間の抜けた声をあげるハイリだが
この時程マヌケと呼ぶに相応しい物はなかっただろう。

その声は脳天から突き抜け
その顔は左手で描いたかの様

とんでもない発言が来るとは思っていた
思っていたがまさか…まさか……


(子供のおねだりとは……っ。)


考えるより言葉が先走った。


「だ、ダメに決まってるでしょっ!!
歳…とか、いや学校だって!
大体っヒーロー志望でしょうがッ!!」


パニックを起こしていた割には
まともな反論。
目の前の恋人は
至極、真面目な顔で聞いている。

本気なのだ
わかっている
そういう人だ

このまま話を続けても
論破されるのがオチ

それでも叶える事など出来るはずがない
自分たちは学生の身で
それどころかヒーロー志望なのだから…。

ついた溜息は盛大に

そこにハイリのものではない
大きなため息が被さった。


「やっぱりだめか。」

「あったり前でしょうっ!?」

「良い考えだと思ったんだがな。」

「落ち着いて考えて。
まず、まだ結婚できない。」

「何とでもなる。」

「なりませんっ!!」


轟々と飄々と寒暖差のあるラリーが続く

何をふざけているのだろうか。
いや、そんな人じゃない。

今もその目は真剣に
真顔で何かを考え込んでいる。

まるで何か策を巡らせているかのような
そんな顔。

本気なのだ
真剣なのだ


(困った人だな…。)


そうは思えど愛おしくもある

呆れながらもハイリの目尻は垂れた
自分との将来を真剣に考えてくれる姿に。


(叶う事なら
今すぐにでも…)


叶えたい…

無いはずがない。

自分たちが育った環境とは真逆の家庭
子供たちが幸せに笑える温かい家庭
そんな家庭を彼と築けたらどんなに幸せだろう

夢として思い描いた事…
無いはずがないのだ。


「しょーと…」


抱きしめている腕に力を籠める

それだけで十分嬉しい
この上ない幸せだ

いつも安心を与えてくれる彼に
たまにはお返しをしなきゃだろう…

ハイリは心を撫でるかのように
静かに笑う。

そして三日月型の口を
そっと開いた。


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