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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第43章 ♦番外編♦ Xmas Eve シンドローム




「どうしたの…?」


柔らかく細められた慈愛の瞳

何かを感じ取ったんだろう
細い指は前髪を滑り落ち目元を撫でてくる。


「ちょっとな…」


小さく笑みを返した轟は心の中で思った
これだから離れられなくなる、と。


「おいで…?」


伸びてくる細い腕
抱き締められて
紅白の頭は華奢な肩口に埋められた。

すり寄るように唇を寄せ
自分の印を刻みこむ

慣れか優しさか

ハイリの首筋は当然のように差し出された。

頭を撫でる優しい手
子守歌のような声


「今日は甘えたさんだね。」

「わりぃ…。」


まるであやす様に頬を寄せる
その姿、まさに聖母。

心地良い感触に
轟は息をつきながら頷いた。

何故だろうか
確かめたくなったのは

いつからだろうか
抱え始めたのは

わからない
ずっと心にあったのは確かだ。
ただ口にしたら不安にさせるだけ
だから口にしなかっただけ。

しかし
ハイリの小さな冗談が
口にする事を許した。

問う側に立っても良いと
轟に思わせた。


「なぁ…俺ら、結婚すると思うか…?」


抱えていた疑問が
ポツリ、キャンドル映える薄闇に転がり落ちる

問われた瞳は
小さく瞬きを繰り返していた。







「…………へ?」







ハイリにとってその問いは
いつになく…

ではなく

いつもどおり
突然だった。


「どしたの急に。」


なんだかイベントの度に
悩みを抱えている気がするのは気のせいだろうか?

二色の瞳が橙に光る。

何色の感情を湛えても
潰えない黒と翠にある感情は
今、不安気に揺れている。


(珍しい。)


甘えたの原因はここか…。

微笑の裏側に苦笑を隠しながら
ハイリは答えを探した。

幾度となく自分が巡らせた不安だ

その不安を悉く壊してきた彼が
イマサラ突然口にした同じ不安

成程
問われる側に立たされると断言できる
大丈夫だと。

弾きだされた言葉は
貰った言葉と同じものだった。


「出来るよ、大丈夫!
ぜーったい離れない!」

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