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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第43章 ♦番外編♦ Xmas Eve シンドローム




心地良い
と言うには些か過ぎた脱力感

どこかまだ浮遊している心地のまま
ハイリは乱れた前髪をかき上げた。


(いくら特別な夜だと言っても
これじゃ双方の消耗量に偏りがありすぎなんじゃ…?)


頭の中で不満は並べども口に出す事などしない
いや出来ない

引き寄せられた腰
力の抜けた体ごと腕の中へと収められて
一体何を言えるだろうか。

こんなものを目の前に突き付けられては
不満など一瞬で溶け消えてしまう。

その胸元に光るネックレス
彼のサークル型に刻まれた「Eternal」の文字と
自分のオープンハートに刻まれた「Love」の文字


――永遠の愛


女の子なら誰だって憧れる
ペアアクセサリー

数時間前、これを手渡された時は
らしくないプレゼントに目を瞬かせた


『今度は誰に相談したの?』


あのバツの悪そうな彼の顔
思い出すだけで頬が緩んでしまう

中々教えてはくれなかった。

数十分問い詰めた後
ようやっと白状してくれた
その相手の名。


『……お母さんに。』


嬉しかった。

ずっと会う事を避けていた母親に
やっと会うようになって
紹介もして貰って
それだけでも十分嬉しかったのに

その母親に自分の事を相談してくれたのだ、と。

口から出たのは
ほんのささやかな冗談だった。


『ついでに婚姻届けも書いちゃう?』


嬉しさに押し出され
冗談に隠した小さな本音。


『………そこまで思いつかなかった。』


ワリィと本気で謝って来るものだから
ますます冗談にせざるを得なかった。

だから
不満など出しようがないのだ。


(もうっ…困った人だな。
怒れなくなったじゃないっ!)


ハイリは微笑む
摺り寄せられたその頭に

まるでエサを強請る猫のように
頬を擦っては耳元を撫でてくるこの愛しい恋人に。

一体どうしたというのだろう?
今日だからだろうか?
頬を掠める髪はとてもくすぐったい。

轟にしては珍しいその行為に
ハイリはクスと笑い
その髪をもう一度撫でた。

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