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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第42章 【深緑色】医療保険~指定難病恋型~





『そろそろ支度するか?』


正直
休んでしまいたかった。


『うーん…』


抱きしめらて髪を撫でられて
彼の胸へと顔を埋めて
甘いぬるま湯に浸される

そんな時間を堪能したかった


『それとも休んじまうか…?』


甘く誘惑するかのようなあの言葉
耳をくすぐられて
心まで擽られて
身を捩りながら頭を摺り寄せた。

何度も落ちて
どこまでも堕ちて

ずっとこのまま―――……












「なんて、言ってられないのが現実なんだよね。」

「急にどうした?」


学校までの道のりをせかせかと歩く道すがら
勝手に出てきた独り言にツッコミは入ったものの
それ以上問われることは無かった。

意外にも
間に合いそうだったんだ

HRはヤバいかも
でも1限には間に合いそう

たかが10分
されど10分

この差は大きい。
ものすごく。

どうせなら1限丸々落としそう
それくらい時間をオーバーしていれば諦めもつくというのに

言えば笑われた


『サボり魔のお前が言っても説得力がねぇ』

『……っっ確かに!』


このやり取り、いい加減に無くしたい。

とは言え
現に昨日も午後サボったし
サボらせちゃったし

流石に今日はサボっちゃだめだろう。

そう結論付けて
駆け足で家を飛び出した。

でも、今はお休みモードだ

焦凍はともかく
私には体力の限界というものがある。


「どうせなら私も
飯田くんみたいな機動力のある“個性”が欲しかったな。」

「だから抱えてやるって言っただろ?」

「大丈夫だってば!」


そう言ってくれるこの人は
私の教育上宜しくない

悉く私を甘やかして
なんでも楽な方楽な方へといなざっていく


(もう少し体力つけないと
ヒーロー志望が聞いて呆れちゃう…。)


既に手を引かれているこの状態で言っても
なんの説得力もないのだけれど…

溜息を一つ
見上げた坂は
今日一段と長く見える


「ここが最後の難関よね…。」

「やっぱおぶってやろうか?」

「要りません!」


学校と現在地を繋ぐ坂道

チラホラ見える同じ制服が
まだ間に合う時間だと背中を押す。





最後の壁が
訪れようとしていた。



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