第42章 【深緑色】医療保険~指定難病恋型~
言葉無く両腕が首へと回された。
細い指が俺の後ろ髪を梳く
慈しむような視線は「YES」の証
笑みを漏らした俺に
つられて上がった頬が朝日を受け白金に輝いた。
「一緒に怒られるか?」
「だーめ、遅刻は厳禁。」
困ったように眉を下げる
音無く笑うのは余裕の証
負けたとばかりに笑う
この時のハイリこそ最強だと思う。
全てを許し、受け入れる
聖母のような女
(負けてんのはこっちの方だ…。)
飲まれちまう、この柔らかな空気に
意図してか無意識か
見下ろす距離がゆっくりと縮まっていった。
「んっ…っ」
初めに触れるだけのキスをしたのは何故だろうか
甘い声に物足りなさが俺を襲う
二度目は頬に首筋に
薄い布地の内側に手を潜らせながら
指先と舌で柔肌を伝う
柔らかな温もりを見つけると
声が一音高く上がった。
「あっ…っ」
弾く胸と同時に髪に揺蕩う光も揺れた瞬きの間
ハイリの表情が一変する
白金だった頬に紅が差し
亜麻色の瞳が忙しなく泳ぐ
止めてやるべきか?
考える必要すらねぇ
(この先の反応が楽しみだ…)
構わずキャミソールをたくし上げれば
現れた双丘が二本の腕で隠された
「なんか、明るいから恥ずかしい…。」
泳ぐ光は俺から窓へと
俺を覚醒へと誘ったその窓のカーテンは勿論全開
例えここが地上から20mの高さだろうが
それだけでハイリには耐え難いモンがあるんだろう。
基本、そういう女だ
基本は
その表情にクッと喉が鳴った
当然だ
赤く染まった頬に潤んだ瞳
目をソワソワと泳がせ眉間にしわを寄せている
晒された胸を隠そうと覆う手が
たくし上げられた布地をキュッと握るその姿
あまりに初心な反応
「とても昨日誘ってきた女と同一人物とは思えねぇな。」
茶化すように
羞恥を煽るように
「保健室で」と耳元で囁いた。