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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第42章 【深緑色】医療保険~指定難病恋型~




クスクスと弾む胸に触れた大きな手

そっと撫でては
キャミソールの内側に潜り込んでくる

意地悪な指がわき腹をなぞって
あまりにくすぐったくて
思わず声を上げた


「めっ! くっ、すぐったいっ!
なんっで、そうなる…のっ!?」


すごく久しぶりな気がした。

こんなに穏やかな気持ちで
私に覆い被さる焦凍を見上げるの。

沢山あった
フラれちゃったらどうしようから始まって
自分の“個性”の事とか
ヴィランの襲撃だってあったし
ヒーロー科編入の事や
焦凍のご両親の事

もう、毎日が目まぐるしくて
すごく時間たってる気がするのに


(思い返すと全然経って無いんだね。)


カーテンは全開
昨夜と違って窓の向こうから
ドアの向こうから
壁の向こう側からだって人の気配がする

なんたって今は朝だ
なのに彼は楽しそうに言う


「言わなくてもわかんだろ?
どう考えたってそういう流れだ。」


わかんないよっ
そういうって何!!

不思議そうな表情がこてんと首を傾げて
なんだろな、私の方がおかしいのかな?
そう思うのも久しぶり。


「駄目か?」


睫毛を溶かす日の光

強請る瞳は余裕綽々
ペースにのまれて
この甘い光に溶かされてしまいそう…

でも、押されちゃいけない
真面目にカリキュラムに取り組むって決めたばっかりだ。

焦凍の両肩を押し上げながら
めいっぱい顔を背けて抵抗の意を見せる。


「じかんっ、君いまっ時間きいたよね!?
確実に遅刻だよっっ!?」

「じゃ――…」


だけど…なんでかな

こめかみに落とされたキスが
あの日を思い出させた。

儚い水音と共に離れていく温もり
トクリとなった心音に視線を戻すと
その唇は意地悪に弧を描く。


「…――どっちがいい?」


沢山笑うようになったな…って思ったら
すごく、すごく癪なんだけど
抵抗する理由が無くなってしまったんだよね。


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