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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第42章 【深緑色】医療保険~指定難病恋型~




これも彼なりの配慮なのかな…

私が我儘になるのと同じテンポで
焦凍はどんどん優しくなる。

そこに『別れ』なんて言葉
一言も出てこなかった







「切り出した方は相手の言う事をなんでもきく。」







静かな部屋に鼓動が二つ

一つを置いてけぼりにして
だんだん早く、どんどん大きくなっていく

そのリズムの名がきっと…
   『恋の病』




「…………ふざけてる?」

「大真面目だ。」




真顔でそう返されて
笑わずにはいられなかった。

だって『なんでも』なんかつけてしまったら
切り出した方はかなりのリスクを負うと思う。

良く考えて欲しい
『言う事なんでもきく』だよ?

焦凍にその話を切り出されるとこ想像して
私、なんて答えるかな?って考えてみた。

どんなお願いをするかなって…
想像して、考えて…また笑ってしまった。


「それじゃ切り出すだけ時間の無駄になっちゃう。」

「その為の約束だ。」


抱き寄せられてコツと額が触れ合った
囁き声が直接響く距離

可笑しくて
嬉しくて

触れ合わせたまま頷き合う。

大きく早くリズムを刻む
自分の鼓動を感じながら静かに目を閉じた。


「そうだね…そうかも。」


そんな日なんか来なきゃいいって
ずっと思ってた。

来たらどうしようって
ずっと不安だった。

不安でしょうがなくて
ちょっとしたことで疑心暗鬼になる。
必要のない所まで暗く考えてしまう。

浮上したり沈んだり
狂わされたリズムが重苦しい音を響かせる。

バレ、てたのかな
いつからバレてたんだろう?

胸に響く音が今
サビのメロディを刻む
お陰で声が声にならないや。


「ありがとう…。」


この約束はきっと保険だ。

別れを切り出された時の為っていうより
『今』の安心を得るための物。


「勘違いすんな
言っとくが互いの為だからな。」


『これで一生離れらんねぇな』って鼻で笑う
貴方が気付いているのかどうかはわからないけれど
また、引っ張り上げられたんだよ?

トクトクと鳴るメロディが
ヤマを越えて終息へと向かう

ゆったりとした平音を奏でる頃に
それは小さな寝息と変わっていった。



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