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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第42章 【深緑色】医療保険~指定難病恋型~




噛みつかれるような
喰らわれるかのような
こんな激しいキスは久しぶりだった。

息もままならない
吸わせてもらえない


「んんっ…っ!」


自分の呻き声に
また顔が熱くなった。

絡めとられた舌がチュクと鳴る

脳内を溶かしてしまうような水音に
ゴクリ、息を呑む音が大きく響いた。


(突然…どうしたの?)


言葉を紡げず目で訴える

そこにある二色の瞳に緊迫感は無くて
私の困惑は深まるばかり。

心に触れるように見つめ合いながら
与えられる熱に溺れかけていた。

指が絡む
熱に涙が滲む


(なんか…違う。)


突然変わった空気もそう
焦凍の纏う空気もそう

前にこんなキスをされた時は
余裕なんてどこさがしても無かったのに。

今日の焦凍にはソレが見える。
益々わからない…。


「ン…ンんっっ。」


0.1にも満たない間

僅かな隙間の小さな呼吸で
かろうじて保っている理性は溶け始めてる。

拙い思考を回して
だけどそれもすぐに潰えて


(もうこのまま――…)


何をされても良い
どうなっても良い

とろりとした思考でそんな事を考えた。

舌を吸われる度に思う
このまま食べられてしまいたいと

絡んだ指を握られる度に思う
境界線なんて無くなってしまえばいいと

気付かなかった
それくらい夢中だった

口内を蹂躙されて
心を羽交い絞めにされた

すごく、嬉しくて――…

まさか今こんな問いを掛けられるなんて
予想出来なかったの


「そんなに大事か…?」


やっと呼吸を許されたのに
出来なかった。

誰がなんてなかった
だけどはっきりと誰を指してるのかわかった。

だって昼間も……


(私…なんて答えたっけ――…?)


どれだけ考えたって
思い出せるはずがない

私だって――答えてないんだよ。


「ハイリ…?」

「ん…。」


撫でる掌に頬を寄せる

眉を下げて悲しそうに笑う
そんな表情まであまりに綺麗で…

思わず笑ってしまった
情けなくて

自分の事棚に上げて嫉妬して
答えを貰えないから拗ねている
そんな自分に呆れちゃって。

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