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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第42章 【深緑色】医療保険~指定難病恋型~




(なんか、悔しい…っ!)


学校どころか二度としない
家でだってどこでだって
絶対絶対しない!

言いたくても言えっこない
これが立場の弱さ
そして説得力の無さ

返せる言葉は一つしかなかった
反発したくても出来ないの
だって事実だから。


「わかっ…てるっ!」


そうだよ
半分は八つ当たりだよ
わかってるっ

どこにもぶつけることが出来なくて
凹んだり恥ずかしくなったり
悶々としてるんだよ!

腕を解いて身体を半回転
睨み上げれば笑いを紡いでいた口は息をつき離れていく

代わりに抱き上げられてそっとベッドへと降ろされた。


「今日は寝かしつけてやる。」


覆い被さられてこの台詞

なんだか今日は一段と格差を感じる。

相手にされてないと言うか
あやされ、宥められてるみたい。

こめかみに落ちてくるキスの雨を受け止めながら
ずっと私をあやし続けてきた兄がわりを思い出した。
あの、明朗快活なボイスヒーローを。


『Hey!! 呼んだか!? ハイリ???』


違う呼んでない。
ちょっと今は出てこないでひざしくん。
私、余裕ないの。


『Ouch!!!』


頭の中にひょっこり現れた
おきあがりこぼしの様な精神を持つ兄の姿を振り払う。

とにかくっ
そんな相手じゃ敵いっこないじゃない。


「わかった、今日は大人しく寝る。」


いつの間にか慣れた夜目に映る焦凍の表情は
溜め息が出ちゃうくらい綺麗だ。

愉悦を湛えて小さく笑う
余裕を従え見下ろしてくるその姿

綺麗で
妖艶で

つい
ふて腐れた顔のまま魅入ってしまう

見えない
聞こえない星の瞬き

そんな無音までもがBGMのように思えて
睨む目も丸くなっていく

弧を描いていた唇が開く様を
ただ見つめていた。

その低音が胸を振るわせるまでずっと


「そんなに嫌なのか?」


フツリと止んだ
空気が変わった

笑みに混ざった苦み
憂いの表情が艶を上乗せする。


「う…ん?」


頭も心も
どうせ焦凍に追いつけっこないの

なのに鳴く
キュッと胸が鳴いた

私はその鳴き声が何なのかわからなくて
なのに胸が締め付けられて

ただきつく指を握りしめた。

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