第42章 【深緑色】医療保険~指定難病恋型~
「そんなに嫌か?」
何が嫌なのか不思議で仕方がない
真顔で首を傾げている姿が目に浮かぶ
そんな声
結局、私はこの人の手の上で
良いように踊らされるんだ。
そういう運命なんだきっと。
大体、私の聞きたいことはまだ聞かせて頂けてないのに、何故この人の疑問ばかりが優先されて解決に向かっていくのか?
はなはだ疑問な私だ。
答えてなるものか
固く決心をして
ヨシと頷く
ちょっとした反抗のつもりだ
私は怒っているの
(教えてくれるって言ったのにっ!)
だけど…
「ハイリ…。」
そうは思ってもこうも甘い声で囁かれては
芯が揺らぐ。
頭を摺り寄せて甘えるなんて猫みたい
頬に触れる髪がくすぐったくて
身を捩りながら笑ってしまう
「もうっ!」
固い決心って一体なんだろう…
苦笑いが出るほどあっさりと砕けた散った決意
きっと私が悪いんだ。
私はこの人に絶対逆らえないんだ。
結局
この人の思い通りになってしまうんだ。
それでも
反発はやめられないのだけれど…。
「もう絶対学校ではシない…。
絶対に、絶対に…です!」
きっとこの『絶対』もあっさりと砕け散るんだろう
そんな考えも過ぎったけど今は考えないようにしよう。
保健室での事を思い出したら熱を持つ
頭がグラグラと煮え立ってしまいそう。
闇に隠されて見えないだろう顔色は
きっと今真っ赤に燃え上がっているんだろう…
ヒヤと触れた指先に
しまった…なんて思っても、もう遅い
「熱ぃ…
さぞ赤くなってんだろうな?」
指先の後を追うように
今度は舌が耳の輪郭をなぞった
焦凍の体温すらわかんない程熱い。
そんな頭に追い打ちをかけて来るこの人は
もう、私を操る術を身につけてしまったんだ
「どんだけ文句を言おうが
今日誘ってきたのはオマエだ。」
耳元での笑い声が鼓膜をくすぐって
顔の熱がまた上がった。