第41章 【深緑色】自己CHIYU
(あーダメだなこれは
やられちゃった…。)
心の中で苦笑を噛み潰したら
力が抜けて頭が枕に埋もれてしまった
肩を張ってたんだろう
首筋も頭もなんだかすごく重い。
空いた距離を再び詰めるように近づいたオッドアイは、さっき以上に楽しそうで…
出てくる皮肉も浮かべる表情も
色とりどり
「お前、今何の最中かわかってんのか?」
「それ私の台詞だよね…。」
温かいベージュ一色の世界
輪郭のぼやけた二色の髪がキラと光る
瞬きをする度にその輪郭ははっきりするけれど
すぐぼやけてしまって
でもね
そんな視界にこれだけ笑ってる人がいるとね…
ぼやけてた輪郭も、瞬くごとにはっきりしていくんだよね。
(しょうがないよね
こんな顔で笑われちゃ…。)
これが惚れた弱みと言う奴か…なんて
昔読んだ小説の定型句を記憶の中から引っ張り出した。
既に繋がった状態でこんな会話
かなりおかしいと思う。
でも…私達らしいとも思う。
いつも私のペースなんてお構いなしな人だけど
今は焦凍も待ってくれているんだろう
私が大丈夫になるのを
「うん、今度こそ大丈夫。」
「ちゃんと話すから、今は俺に集中しろ。」
ホントそれ
なんかカッコイイ事言ってるけどね?
教えてくれさえすればこんな話にすらならなかったんだよ?
可愛くない皮肉は飲み込んだ
ムリにじゃなくて
なんだか可笑しくて
言ったら笑ってしまいそうで
更にムードを壊してしまいそうで
「今度は、大丈夫そうだな…。」
「ん…だいじょーぶ。」
少し残念そうな目元を撫でながら小さく頷く
あ、でもこれはちゃんと言っておかないと…
「でもちゃんと聞かせて貰うからね?」
「隠すつもりなんざねぇ。」
ぐっと近づいた二色の瞳
そこにユラと灯る熱の色
感心するくらい切り替えの早い人
「んっ…っ!」
返事か喘ぎかわからない声は
ベッドの軋む音にかき消された。