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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第40章 【深緑色】secret cancer




爆豪くんが去って
途端に視界が開けた
そう思えた。

一つ一つカーテンで区切る事が可能なこのスペースは
決して広いとは言えない

その大部分を占めているのはベッドで
両サイドの空間と言えば80cm程

そんな空間に私も含めて4人もいたなんて
中々の人口密度だ

どおりで
広くなったように感じるわけだ。




――シン…




途絶えた音はあまりに賑やかだった

その殆どがあの子で
中心もあの子だったから

なんだろ
この胸を占める寂しさは

あの子へのモノなのかなって
心の所在を確認して気付いちゃったイマサラな事。


「名前…聞きそびれちゃったな。」


真っ白な天井を仰いで息を吐く

あれだけ心配してもらっておいて
名前も聞いてないなんて

教えてもらったのは歳だけで
クラスどころか科も聞いてない

でもたぶん…
この人なら知ってるんじゃないかな


「多分、ヒーロー科ではない…よね?」


視線を向ける相手は今や1人だけ
話題を誘いたくて問いを投げる

でも
本音を言ってしまうと焦凍の方から
切り出して欲しかった

ちょっとだけ聞きにくくて


(もう少し待ってたら
話してくれたのかな…。)


一瞬頭に過ぎったけれど
それは多分無い

この人が女の子の事話すとこなんか
見た事無いし

そう思った途端
頭の中で誰かが囁いた。


――ドッチ ノ イミデ?


どっちって何。
話さないって結論は変わらない。


「さぁ…俺も聞いてねぇな。」


ほら、ね

頭に乗った大きな手

結われたばかりだからかな
表面だけを優しく撫でた。


――コワサナイ ヨウニ…?


何?
なにが言いたいの…

疑ってるつもりなんか
ない

心配なんか
ない

不安なんか
ない

なんにも「ない」
なんでもない事

だいじょうぶ


――ホントウニ ダイジョウブ?


大丈夫
うん、大丈夫

大丈夫だと思ったから
尋ねたの


「じゃぁ…名前、教えて貰ってもいいかな…?」

「………覚えてねぇ。」



――ホラ、ネ?


珍しい返しじゃ、ないよ
こういう人だ

例え告白されようが
話した事実さえ忘れてしまうような人

いつも私は
呆れて言葉がでなくて


「………。」


だけど今日は
押し黙ってしまった

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