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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第40章 【深緑色】secret cancer




いくら目を凝らせど見つからねぇ
俺の気にしすぎか?

目を細め、狭まった視界
胸のど真ん中で
苛立ちという名のゴム風船が膨らんでいく

次第に内側を圧迫していくそれは
不快感以外の何物でもねぇ

まるで見えねぇ何かに
ピタリ、背後に憑かれたような…。

警戒する頭に声が降ってきた


「ね~爆豪くんも何か言ってあげてよ~!」

「あ"? 話しかけんなモブが…。」

「ちょ…っと爆豪くんっ
誰彼構わずモブって言うのは止めよう…ね?」


呆気に取られている女の代わりに
俺を嗜める
ハイリの顔は苦笑に満ちている

会話に乗る?
ンなモン知るかッ
俺ぁ今忙しいんだ

言うなればこれは秒針との勝負
この一言以外俺は言葉を口にしなかった。

ただ気になって
神経尖らせて
だが
いくら探せど見つからねぇ…


「じゃ~私は教室戻るね!」


タイムアップだ。

特になにした訳でもねぇ

精々ハイリの髪を結った
そんくれぇだ。

引っかかった事と言えば
女の去り際に出てきた轟の一言くれぇか


「戻ンのか?」


まるで居て当然と思っているかのような
出て行っちまうのが心外かのような言葉だ。

こうなってくると
イカレてんのはこの舐めプ野郎で
女の方がまともに見えてくる。


「病み上がりだし、長居はしないよぉ~
お大事ね!」


名乗ることすらしなかった女の情報は
俺等と同じ1年って事だけ

目的もなにも見出せねぇまま
明るい声を残し去っていく


「バイバ~イ!」

「うん、ありがとう…。」


女は来た時とは違いカーテンを静かにめくり
音も立てずに布の向こう側へと消えていった。

ヒラと揺れた隙間から手だけが振られ
一足遅れて礼を零したハイリが小さく片手を上げる


「ばいばい…。」


声は小さく
ただ小さく
静かに空気に溶けていった。

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