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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第40章 【深緑色】secret cancer




ぽかん開いた口

零れんじゃねぇか
そう言いたくなる程開いた目

覚束ない詫びを零し
まぬけ面を固めたハイリの様子は
『会話について行けてない』
この一言で片付いた

事実
ついて行けてねぇからだ。


「……怖ぇ顔?」

「そぉそぉ!怖かった~…。
私、轟くんのあんな顔初めて見た。」

「初めても何も
今日初めて話した筈だが…。」

「轟くんは有名だから~。」


言葉が重なるほどに零れだす
驚きの中から動揺が

ゆらゆらと揺れた亜麻色は行き場を無くし
膝の上に組まれた両手に落とされた

わかりたくもねぇがわかっちまう

親しげに話すこの空気は
俺にですら違和感満載

今まで轟がどれ程他人に無関心な人間だったか
一番知っているハイリなら
それは更に嵩を増して見えんだろーよ


(それにしてもこの女…
朝と印象が違い過ぎる。)


食い気味に身を乗り出す女と
戸惑いながら身を引く女

見据える目
その上の眉間にいつも以上の皺が寄る


「何か飲み物買ってこようか?」

「あ、いえっ大丈夫です。」

「なんで敬語!?
私も1年だからっっ!」


ハイリを気遣いながら笑顔を向ける
突き飛ばし睨み据えたあの目とは別人みてぇだ

雨の中の遠目だったから俺の見間違いか?
好きな男の前だから繕ってんのか?
もしくは俺の固定概念がそう見せたか…?


「えっ…大人っぽいから先輩かなって…。」

「よく言われるんだ~でも1年だよ~?」


繕うにしては自然すぎる態度
次第に轟には目もくれず
話し相手はハイリだけだとばかりに
距離を詰めていく

容姿の問題じゃねぇ
すでに出来上がっているかのような上下関係

人見知りのガキをあやす様に伸ばした手は
亜麻色の髪を梳き始めた


「フワフワの髪、いいなぁ。
私なんか巻いても午後にはストレート!」


触れた他人の手に
ハイリの肩がぴくりと跳ねる

身を固める様は
言うなれば借りてきた猫

戸惑いながらもじっと伺う瞳がそう思わせた。

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