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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第40章 【深緑色】secret cancer




「具合は?」

「平気、授業もいけるよ?」

「どうだかな。」


覗きこんでくる二色の瞳は
心配の中に呆れアリ

私の頭に手を乗せたかと思ったら
手櫛で梳かしたたばかりの髪を
ぐしゃぐしゃとかき乱す


(絶対わざとだ、お仕置きのつもりかな?)


片眉を下げた苦笑
そこには「またか」とはっきり書いてある

流石に耐性ついちゃったか
心配の仕方も、もう慣れたって感じだ

それでもお小言は忘れない


「少し用心しろ。」

「転んでもヘーキだもん。」

「そういう意味じゃねぇ。」


自分で乱しておいて
自分で治す

撫でられるのが好きって事
いつの間に知ったのか
それとも知らぬ間に癖付いちゃったのか
何かにつけて撫でてくる

お小言の時は特に


「イチャついてんじゃねぇッ!」


またまた怒り出した爆豪くんは
心配してるみたいだけど
この特別は別物なの

たしかに焦凍はモテる

二人きりでいようが居まいが
あっと言う間に女の子に囲まれちゃうような人だ

敵を作らない為に
学校では接触を控えた方が…
うん、そっちの方が賢いかもしれない

でもそれは
私が嫌なんだよね


(一緒に居たい。)


焦凍がじゃなくて私が
側に居たい。

居てあげたいじゃなくて居たい
自分の為なの

優しい感情なんかじゃない
ずるい独占欲だ。

この人はどれだけモテようが
呼び出しに応えてようが
ちゃんと線引きはする人だ

特別なのは自分だけなんだって
そう思いたくて
それを実感したくて


「ごめんね焦――…」


声は――カーテンを開く音に遮られた


「あ、起きたんだ?
良かったぁ…。」


淡いベージュの隙間から
軽やかな音を立てて顔を出した女の子

クスと笑ってベッド脇の椅子へと座る


(だれ…?)


癖なんて一つもない綺麗な黒髪が
カーテン越しの陽にすら艶と光る

涼しげな瞳は
ミステリアスって言うのかな
大人っぽい雰囲気だ

ベッドに両手をついて
近づいた距離はとても近くて…


「目を覚ますまで轟くん
すごく怖い顔してたんだよ?」


悪戯な瞳で覗きこんでくる
ずっと昔からお友達みたいな距離感で

ゴクリとなった喉は
一言しか紡げなかった


「ご、めんなさい…。」


驚いて
その感情が大き過ぎて
他の感情なんて見えなかった。


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