第39章 ♦番外編♦ はにーホリック
鈍い金属音に軽やかな鈴の音
振動を伴って伝わってくるその音はどちらも私が鳴らした音
背を壁に押し付けられ
ただでさえ窮屈な自分のスペースが更に狭くなる
容赦なく下ろされたベアトップは下着ごと
肌に触れるのは生暖かい空気
口を塞がれるまでの僅かな間
短く息を吸う事しか出来なかった。
「ん、待っ…て、どう…したの?」
「本当か確認させてもらう。」
荒い息の合間に吐き捨てた言葉は短くて
肌の上を滑る手は荒々しくて
(熱、い…っ)
もう冬がすぐそこまで来ているというのに
こんなにも熱い
焦凍の熱が移って
私の熱が移って
どんどん加速する
みるみる熱くなる
「どう、しちゃったの…?」
きっと『待った』は通用しない
これはもう付き合いの長さか
その密度か
だから訊ねた
激しすぎる愛撫の合間に
返事はなく
ただ胸の先端をカリと噛む
「ぁ…うぅ…っ」
まるで黙れと言われているようで
漏れ出る喘声を手で塞ぐ事しか出来なくて
本当に喰らわれてしまう
淡かったはずの興奮が加速して濃くなっていく
(本当に……ここ、で?)
事実考えた
だけどそんなの気にする人じゃない
何もかも見透かしたような瞳は
愉しそうというより飢えている
仮装のせい、もあると思う
紅い唇からチラと牙が覗く度
ゾワリ
背筋が熱くざわめいてしまうんだ
「しょ…と、ぉ」
言い終えるより先に唇を啄んだ
視線で刺す
「外に聞こえるぞ」と
今にも泣きそうな瞳が訴えているが
んなモンなくともわかってる
抑えられるモンじゃねぇよな?
喘げばいい
どうしようもなく我慢できねぇほど
気持ちよくさせてやるから
廊下の隅々まで響き渡る程
鳴き叫べばいい
「我慢しなくていい。
探しモンはここからだ。」
言ったところで聞く女じゃねぇ
節度に倫理
俺に言わせりゃ堅苦しいハイリの倫理観は
俺の欲望にとって邪魔でしかねぇ
柔らかな肌をに埋もれていた指で先端を弾き
その手をスカートの中へ
少し暴れさせ過ぎたか
太腿まであったソックスが
スルリ膝下まで落ち肌の面積がまた増した。