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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第5章 【桜色】桃色診断書


~Side轟~






「なぁ、手紙って珍しいよな。」

「突然どした? 朝のヤツ?」










そんな事を考える入学三日目の登校中
とりあえず今、一番気になることから問いを投げる。
俺を見上げるハイリはメガネを掛けながら笑うのみだった。


「いや、俺は手紙とか書いた事ねぇってだけだ。」


朝の事があった所為かはわからねぇが
今日のハイリはすこぶる機嫌が良く見える。
口に手を添えて笑い、「だよね」と頷いてはまた笑う

返事はそんな和やかな雰囲気を壊す気など
一切無いかのようにカラリと返された。


「LINEが届く距離なら私もそうしたかもしんないけど
私のお母さん他界しちゃってるからね。
あの手紙は燃やす為に書いてるの…まぁお線香代わり?」


言葉をそのまま受け止めても良いものか躊躇した。
それ程に何事も無いかのように語られた事情。

理解し兼ねていた意識に呼応するかのように足が止まる。

ハイリと俺の間にヒラと舞い散る桜の花びらが
ことさらこの状況を異なものにしていた。


「悪い。」


詫びる俺に屈託なく笑い
「気にする程の事じゃない」と返す。


「命と引き換えに私を産んでくれたらしいんだけどね?
お陰で思い出なんて全く無いの。
だから寂しいなんて思いようが無いってやつでさ。」


首のサイドにゆったりと結われた髪を揺らしながら
上目づかいで覗きこんでくる。
気にしない様に気遣うにはあまりに自然な笑顔だ。

まだ出会って3日
それでも一緒に過ごす時間はかなりのものだ。

今まで見た笑顔の中でも1,2を争う綺麗な笑顔







俺には逆にそれが不自然に思えた。




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