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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第39章 ♦番外編♦  はにーホリック




大きな音も立てずにスライドしたドア
そこから伸びる影は薄黒く蠢いている


「居るか?」
「居ねぇな…。」
「隣じゃね?」


気配も絶たず踏み入れる足は勿論人の物
だが見た目だけはしっかり化け物だ


「次行くか?」
「もう少し探すか…。」
「写真くれぇ撮りてぇよなー。」
「一緒になっ。」


ガタリゴトリと音が鳴る
棚やその上の備品を動かす音

僅かな隙間から垣間見るそいつ等は
まさに獲物を探す化け物の集団だ


(んなこったろうと思った…。)


どうやら俺の読みは
さして外れてないらしい


「居ねぇな…」
「戻ってくるかもしんねぇし
ここは俺ら残るか?」
「見張るなら外だな
目立たねぇとこに隠れるか。」
「だとしたら階段か?」
「だな。」


ゾロゾロと連なる後姿
息を殺していた訳でもねぇが
再び扉が閉まり息をつく

扉一枚隔てた声は遠くなった分
デカく響いていた


「出来れば触りてぇッ!」
「その前に番号だろ?」
「ガード固ぇよな、あの紅白頭。」
「ヒーロー科の轟くーーん、な?」


遠ざかっていく声が笑いを伴いながら小さくなっていく

嘲けた笑いの矛先になんざ興味ねぇ
この手の笑いにゃ慣れてんだ

気に入らねぇのはむしろその前


(誰が触らせるか…。)


常日頃、気を付けているつもりだが
当たり前のように目を引くこの女

とうの本人はどこまで理解したのか
頬を膨らませ扉の向こう側を睨みつけた


「なにあれっ失礼なっ!
なんか小馬鹿にした感じ!」


ふーと息を巻き立て唸りを上げる
抑えとかねぇと今にも出ていきそうな勢いだ


「出てくなよ、見つかったら喰われるぞ?」


喉を撫でれば鈴が鳴る
「ゥン」と漏れた声は猫なで声
いつもは犬みてぇな女だが
今日ばかりは格好も相まって


「……猫、だな。」


ハロウィン様様だ。

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