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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第39章 ♦番外編♦  はにーホリック




行くってどこに?

息切れが酷くて
声に出して問う事は出来なかった

だけど十二分に伝わっているとは思う


「あの、しょ…とっ…ってばっ!!!」


この状況で
これだけ声かけているのに
たまに振り返ってもその視線は
私を通り過ぎて更に後方を見やるだけ

わ、焦凍も仮装したんだね!

本来なら第一声のハズのこの一言

声がない
余裕もない
タイミングはもっとない


(ゆっくり見たいのに…っ!)


何処かにそんな欲求はあるけれど
何故か私以上に切羽詰まったこのお方

珍しく表情に苛立ちを滲ませて
舌を鳴らす

手を引かれるがままに付いていく
もはやついて行けてるのかもわからない
やや引きずられ気味に階段の手前を曲がると

ぐるり

引かれるがままの急カーブに
私の躰は半回転した


(目まで回りそう…)


もう声が出ない
辺りが薄暗いせいで
どこをどう通ってこの部屋に迷い込んだのかもわからない

ドアに光を遮られて更に暗いここは
どうやら備品倉庫の様

用具や資材だけにはとどまらず
何やら奇怪な機械が所狭しと並べられている


「あの…」
「しっ…」


掠れた声で問おうとも
すぐに口を塞がれ
逃したタイミングまた一つ

焦凍と同じように
澄ます耳にこだまするのは自分の名だ


「念のために聞くが
アイツ等お前の知り合いか?」


視線を扉に縫い付けたまま
囁く声が問う
なんだか本当にホラー映画の中に迷い込んでしまった気分だ

見失ったんだろう
私を呼ぶ声は扉を開け閉めする音を響かせながら
段々と近づいてくる

お決まりの流れと言えば
そろそろこの部屋の扉がキィと音を立てて開いて…


(いやいやこの部屋のドア、スライド式だから!)


二つの意を乗せて首を横に振る

なんてことだ
たかだかお菓子を持っていなかっただけで
ここまで追われる羽目になるとは

雄英ハロウィン恐るべし

ここまで何の疑問も抱かずについてきた私は
「来い」とのささやきに
何の疑いもなく部屋の奥へとついて行った。

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