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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第38章 【深緑色】自 恋 魔




「また一人で行く気か?」


切れ長の瞳を少しだけ細め
放たれた言葉

それは理不尽というものだ

女の子たちも
お茶子ちゃんも
動くに動けなくなってしまったじゃない

何故この人は周りを気にしないのか
いや、肩を掴んでるだけだから気にしている方なのか


(空気を読んで下さい!!!)


願いが届くなんて思ってない
彼はこういうとこだけはホント駄目で

それでも心の中で訴えた

私も不満だけど
焦凍向こう側にいる二人組の方がもっと不満気で

不満も期待も
顔に出せないんだもん


「お話中でしょ?」

「終わった
そもそも割って来たのはあっちだろ?」


事も無げに言い放つ
安定の無表情で
さも私の方がおかしいかのように

今までとの違いに
面食らうのはこっちの方だ


(いや、まぁ
そう…かもしれないけど…)


正解か不正解かで言えば
正解

彼氏として返す言葉としてなら
花丸な回答だと思う。

だけどヒーローとしてはどうなんだろう?

ここでこの言葉に甘えたら
今までの正解が不正解になっちゃう

第一…


(じゃあ今朝のは?
今までのは…?)


誰に呼び出されようが
表情無く応じていた人だ

ヘタしたらその意味を理解していない
そんな人だ

突然どうした焦凍
意味を理解しちゃったとか…?


「そんな感じにはー……。」


見えない…
女の子たちの視線が痛い

投げかけた反論は
小さな痛みに遮られた

ペチと音を立てて
遮られた視界、上半分

遮っているのは焦凍の手で

言葉はいつも通り淡々と
顔も変わらず無表情

声だけが少しだけ
いつもより低かった


「そこを決めんのは俺じゃねぇのか?」

「…………。」


叩かれたおでこは痛くない
けど

機嫌…悪い?
なんで?

わけも分からず
口を閉ざす

ちょっと意味わかんないし
眉間に皺は寄っているんだけど
その裏側では
喜んでいる私がちゃんといる

恋する乙女は
幼い子供より
我儘で強欲だ


(私って性格悪い…。)


緩みかけた口元を正すように
両頬をつねってみたけれど

どうやら彼には隠せなかったみたい


「ニヤけてんぞ?」


私の頬をつつきながら甘く笑う

バレバレだ

突然変わったこの空気の中じゃ
私の疑問なんて
水中に落とされた金平糖のようなものだった。


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