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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第38章 【深緑色】自 恋 魔




(言っちゃった…。)


言った
言ってしまった

長らく抱えていた不満を
ずっと言えなかった言葉を

良い意味でも
悪い意味でも
もう特別扱いされるのは嫌だ

“個性”上、仕方ない事って
どうしてもあるとは思う

だけど
せめて生徒としては皆と同じに扱って欲しい

小さな溜め息二つ
重なってふと見やる

私を迎えた焦凍の笑みは
かなり不敵なものだった


「随分と強気だったな。」


目を細めて薄く笑う

お疲れと支えるように腰に回された手に
自分の膝がふるえているんだと知った


「へへ…言っちゃった。」


実感があとからあとからやってきて
心臓が音を大きくする

背を駆けあがるこれは
武者震い

胸に広がるのは
ちょっと不思議な爽快感

勢いに乗っかったところもあるけれど
面と受かって
自分の本心をぶつけたのっていつぶりだろう?

背中を押してくれたのは
ううん守ってくれてたのは

間違いなくこの人だ


「ね、後ろ盾って知ってる?」


問いは
ふと浮かんで来た言葉だった


「知ってるがどうした?」


知ってると言いながら傾げた首は
その先があるとわかっている証拠

呆れ気味に上がる口角
「また謎かけか?」
そんな声が聞こえてきそうだ

向けた笑みはきっと
マヌケだったと思う


「焦凍の事だよ!」


だって後ろ盾の語源って
後ろで護る楯でしょう?

貴方がいたから
言える気がしたの

ね?
まんま焦凍の事でしょ?

首を傾げたまま
無表情を微笑みに変えた彼は
ちゃんと理解したんだろうか

頑張ったご褒美とばかりに
私の頭に手を置いて頷く


「そうか…。」


私よりも大きな手
この手に撫でられるのが大好き

意味が伝わっていようがいまいが
実はどっちでもいいの

擦り減った精神力なんて
これだけで回復してしまうんだから


(私ってば単純…。)


それはもう二人だけの世界に入りきっちゃって
周りなんて全く見えてなかったの


「轟くーん!」


この女の子たちの声に
現実へと引き戻されるまでは…だけどね。

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