第37章 【深緑色】欠陥症
どうしたら良いのかわからなかった
始めてお会いした人だけど
これだけ似てれば流石にわかる
(焦凍にも似てるけど…お姉さんそっくり…。)
どう考えたって焦凍のお母さんだ
真っ白な髪に線の細い体
白い肌は初夏の日差しに透けてしまいそう
儚げに見えるのは病院着だからかな
それとも…
(焦凍から聞いてる話のせいかな…。)
頭が決定づける程
思考が鈍る
要するにパニックだ
お家にお邪魔した時も緊張はしてたけど
あれはまだ構えることが出来た
流石に今日は心の準備が出来てない
今日は会わないと伝えたのは焦凍にだし
先生を責めるのも筋違いと言うもの
わかってる
わかってるけど
一体先生は何をしたかったのか
ここに居るようにと言った張本人だし
流石に偶然だとは思わない
去り方も不自然だし
どう考えたって意図的に対面の場を作られた
だからって……
「「「……………………」」」
この場をどうすればいい
そう思ったはずだった。
「実は冬美から聞いていたのよ?」
「お姉さんからですか?」
「ええ、焦凍に可愛い彼女が出来たって…。」
だけど話せば話す程に湧き上がって来る
初めての感情だった
まるで胸の中で手毬が跳ねてるみたい
万華鏡の中身のような色彩が
くるくる回って内側からノックする
どうして?
なんだろう?
わからない
波と言うほどじゃない
整理できないような複雑な感情じゃない
なのに頭の中に名が浮かばない
胸の中で跳ねる感情の名
必死に頭を回してみるけれど
全然浮かんでこない
きっとお話するのに夢中になってるからなんだと
頭の隅で結論づけていた
だけど
わからないのも当然
これは頭じゃない
心の問題なんだから
それは別れ際にやって来た
言葉が
勝手に出てきたの