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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第37章 【深緑色】欠陥症




雲がゆっくりと形を変えていく
魚みたいだと思っていたら
どんどん形が丸っこくなってしまって

なんだか


「ねずちゃんみたい…」


中庭のベンチに一人腰かけたまま
いつも私の心配ばかりしている
我が校の校長を思い浮かべた。


『ヒーロー科は選ばずとも必要なことなのさ!
わかっておくれ。』


制服が届いたその日に撮られた写真
今後関わるであろうヒーローや機関に渡す物

要するにコネクション用の広告だ

持ちつ持たれつ
ヒーロー界は繋がりと連携も必死な世界


(要らないって突っぱねちゃったけど
あれもそろそろ…)


多分、先生と話した所為だと思う
空を見上げたまま
そんな事を考えていた。


(なんて切り出そう…。)


お父さんに宣言した
クラスメイトにも
もう、絶対取り消せない

こうなって来ると
消太くん達に早く言わなければ後が面倒だ

お小言は勿論のこと
準備しなきゃならないものや手続きだって色々と…


(なんせ私
ヒーロー科のカリキュラムすら知らないし…)


初夏の日差しは何気に強い
眩んだ目を木々の緑に寄せて瞳を閉じる。

こうしていると
ジリと肌を焼く音が聞こえそうだ

だからふとこんな事を考えてしまう


(焦凍の右側に居ると…涼しそう…。)


使い慣れた右の“個性”なら
さぞ調節も利くことだろう…

いや、便利だと思っているとかそんなんじゃなく
だけど絶対考えてしまう…

特にこれからの季節


「暑いもん…ね。」


しょーがない
うん、しょーがない
絶対涼しいもん

きっと誰だって考える
うん…

やっぱり後ろめたさくらいは感じてたんだろうか

ヒヤと触れた手に
掛けられた声なんか耳に入らなかった。


「暑いなら院内に入りゃいいんじゃねぇか?」

「っっ!!!!!!」


首筋に触れた冷たい手

加減してください焦凍くん
確かに体を冷やすのに首は適しているのだけれど!

吊り上げた目と眉

その上に抗議の文句を並べながら
勢いよく回った首は焦凍の後ろに立っている女の人に
ピタリと動きを止めた。

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