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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第37章 【深緑色】欠陥症




「これを何故君が…?
ハイリちゃんから…かな?」

「いえ…」


写真から視線逸らすことなく目じりを下げる
その言葉は明らかに知っている者のモン

思わぬ反応に
出た問いはうわずっていた


「それ…写真以外に意味あるんですか?」


言っちまえば唐突な問いだ

答えを得られるかもしれねぇと
先走った思いが心拍数を上げていく

掠れた声が少し冷えた病室前の廊下に落ちると
殆ど開いてもいねぇ目を閉じた医師は
ウン…と唸りながら天井を仰いた。


(……この間はなんだ?)


まるで思いを遠くへ馳せているかのような間
ハイリのガキの頃でも思い出してんだろうか?

医師の向こう側を駆け回る子供の声に
母親の叱声が被さっていく

その様を耳だけで追っていると
見据えた老爺の
淡い灰色の瞳と目が合った。














「これは、名刺のようなものだよ…。」














すぐ横を先程の子供たちが走り去った
追いかける母親は静かにしろと
その後を小走りで過ぎていく

走り去った喧騒に
医師の声は掻き消されたかのように思えた

だがそれは昨日から何度も頭ン中で反芻したモンで
聞き逃しようの無いモンで



『あれは…名刺のようなものだ。』



親父も同じことを言っていた

何度も呟いた
意味を考えた

どうやっても答えが出ず、結びつかず
ハイリに問う事さえできなかった

この医師は答えを持ってんだろう

合った視線はそのままに
穏やかなが目が宥めるように細められていく

こっちも読もうとしているが
まるで心ン中を見透かそうとしてるみてぇだ

先に問うべきか否か
それすら躊躇する

だが
迷っている間に答えは差し出された


「これはね…“治癒の個性持ち”として配るものだよ。
その若さでこれを持っているなんて
流石雄英生…と言った所かな…?」


ほら、と笑い
手にしていた写真とは別の物を
内ポケットから抜き出して見せる

そこには確かに同じ女がもう一人
俺のモンよりよれた状態で笑っていた。

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