第36章 【深緑色】華と蜂のマリアージュ
もっと来て
もっともっと奥まできて
最奥まで来てくれたら
もう
逃がしてあげない
全部あげるから
焦凍もぜーんぶちょーだい
華は誘う
蜜の在処へと
喰らわせて喰らう
そのためだけに
「しょぉと、すき、すきぃ…っ」
ピタリとはまる
この対のような感触が
すごく好き…
比較対象なんてあるわけない
だけど相性って言う奴なのだと思う
奥を擦られる度に思う
私は彼専用なのだと…
今日はなんだか
なんだって言えちゃう気がするよ…
「んぅぅ…きもち…。」
「あんま…煽んなっ…。」
「だぁって…ぁ、ぅぅ。」
だって本当に
好きなんだもん
気持ちいいんだもん
はだけたシャツに、ぶら下がったネクタイ
淫らな姿は快楽を引き出すためのスパイス
今日の食べ合わせは
とっても熱くて甘い
喉が焼けつくような所有欲
「全く…とんだ小悪魔だ。」
「へへ…。」
呆れた言葉を聞きながら
内側が圧迫されていくのがわかった
質量が増したのだと、その実感に
自分の中がキュンと鳴く
互いが互いの欲を誘う
「ッハイリ…結構、限界だ…。」
言葉にされなくても
わかってる
早くなる律動が
早く早くって言ってる
だから、全部飲み込まなきゃ…でしょ?
「ん…いっぱいちょーだい…」
カクカクと振るう指先が
感覚を失う前にシャツを掴んだ
迫る絶頂は
間を開けた分早く、荒く駆けあげる
下からの衝動に跳ねた身体は宙に浮いた
両足を掴まれてはもう、根を張ることだって出来ない
(天井…まっしろ…)
白んでく
薄闇の視界
どんどん真っ白になって
チカチカと星が飛び始めて
声は外の風にも負けない勢いで
鳴り響いた
「ぅぁっ…ッ、ぁっ…はぁ…やっ、ぁあああっ」
ドクン、ドクンと伝わる脈
注がれるのは熱い毒
痺れた爪先がピクリと跳ねるのは
もう反射だ
感じる脈と同時に跳ねる
呼応する
絶頂を迎える直前
頬に添えられた手が
いつの間にか閉じていた瞼を押し開いた。