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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第5章 【桜色】桃色診断書


~Sideハイリ~


ゆっくりと視界が反転する。
ラグの上に押し倒されたのだと気付いたのは
テーブルの上にあったはずのペンが落ちる瞬間を目端に捉えた時だった。


「ハイリ…。」


重なった手の平から
存在を確認するかのように絡められた指は強く
見下ろすその目に心の中まで見透かされてしまいそう。

直視できずにいると耳元に吐息を感じ
直接言葉を吹き込まれた。


「好きだ…。」


それはずっと欲しかった言葉で
甘いぬるま湯につけられたかのような
フワフワした心地だったのに…


「お前には悪いが、
誰を好きだろうが離れてやるつもりはねぇ。」


場にそぐわぬ言葉に
夢見心地はユラユラと晴れていった。


「轟くん…あの、待って。」

「待てねぇ。」


肩に顔を埋められたまま話す内容じゃないかも知れないけど、
私としてもちょっと聞き捨てならない。

手が服の中に入って来て背を直接撫でられるだけで
流されてしまいそう。

溶けていきそうな思考を振り切って
背中を叩いてはみたけれど
昨日と違って治まる気配は無かった。


「あの…なんで、
私が…っ離れる、前提なのっ?」


絶え絶えに紡いだ言葉に彼はピタリと手を止める。
ユラリと上げた目はさっきと同じものだ。
どこか追い詰められたような
射抜くような視線。


「だってお前、他に好きな奴居るんだろ?」

「………?」


気持ちを聞けた今だからこそ
どうしてこんな目をしているのか
やっとわかった。

だけど
どうしてこんな誤解が生まれたのか
それがわからなかった。




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