• テキストサイズ

【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第5章 【桜色】桃色診断書


~Sideハイリ~


迫った顔は近いし
いつもより鋭く細められた目はカッコイイし
顔を掴む手は力強いし

顔は熱いし涙は滲む
脈も呼吸もてんでバラバラに動いてるみたいで

いつ死んでもおかしくないんじゃ
って思った。


「かく…し、ごと?」


頭なんか回ってるはずもない
それでも全神経が目の前の人に注がれてて
一言一句漏らさずに聞き取れた。

だけど


(隠し事…って言うべきなのかな、これ。)


ちょっと違う気もするけれど
言いたい事を言えずにいるんだから
これも隠し事に入るのかもしれない。

何より、もうこの時を逃したら
伝えるタイミングなんて絶対来ない気がする
そう思って小さく頷く。


「轟くん、私実はね…」


後になって思えば
「あなたの事が好きです」って
言えばそれで終わりだったんだと思う。

ただ視線が絡んだ途端に頭が真っ白になって
一瞬、ホントに一瞬だけ目を逸らす。

その一瞬の間
次いで出るはずだった言葉は
彼の口によって飲み込まれてしまった。


「んっ……っぁ…」


驚く間なんて無い
何故と考える間なんてもっと無い

昨日と同じだ
触れてる部分は溶けちゃいそうな程優しいのに
目だけはどこか追い詰められてるみたい。

僅かに唇が離れる間に息継ぎをすると
唇を割ってそろりと舌が入ってきた。


「んぅっ…」


奥まで舌を絡め取られて
もうくぐもった声しか出ない。

溶かされた頭には疑心なんて複雑な感情がある訳もなく
今この時ばかりは「自惚れても良いんじゃないか」って
思ってしまう程甘い時間。
手は無意識のうちに彼の背へ回されていた。


/ 804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp