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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第35章 【空色】勘違いパンデミック




「か…」

「か……?」

「噛みつかれた……。」

「………は?」


予想はまず外れていない
だからこそこの言葉に
クラス内は騒然としているのだろう

本来なら怒っても良いところだ
だがどうして怒れようか
可愛い彼女の、こんな様を見て

何故噛まれたと思っているのか
それはハンカチの紅が根拠なのか
実は本当に噛みついたのか

問おうにも本人は余程ショックだったのか
他人の前にも拘らず涙ぐんでいる

抱っこをせがむ手が轟のブレザーを掴んだ


「焦凍…。」

「あ、あぁ…痛かったな。」


頭を撫でて抱き起こす
言うほど痛くはないのだろう

ただ甘えたいだけだ
恐らく、怖かったんだろう

恐らく…


(気にはなるが……)


チラリとクラス内を見渡したところで
誰に尋ねようか考えものだ

なんせ今までロクに口を利いた事すらない奴ばかり


(八百万に後で聞くか…。)


先程ハイリに歩み寄ろうとしていた
クラスの副委員長

同じ推薦入学者
席も隣と言う事だけあって
言葉を交わした回数はハイリを除けば
クラスで一番多い。

彼女ならば説明も端的で正確だろう
きっと…


(ハイリより…。)


落した視線
自分の胸に顔を埋める亜麻色を撫でながら思う



聞くだけ聞いてみるか
轟の質問は正確さを求めるというより
何を勘違いしてるのか知りたい…に過ぎなかった。


「……噛まれただけなのか?」

「んーん……。」


ふるふると振られた小さな頭
轟より頭一つ低い所にあるその顔は
今尚、悲痛な面持ちで口を開く

出てくる言葉は
なんとも摩訶不思議な言葉だった


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