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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第5章 【桜色】桃色診断書


~Side轟~



「うん、良いよ。
人を診る“個性”のせいかな…
たまにゆっくり見える時があるの。」


本人曰く“個性”のオプションみたいなもの、と評されたソレは意識的に使えるものでは無いらしい。

上等すぎるオプションだな
など思ったが、本人があまりにも呑気に話すんで
毒気を抜かれてしまった。

一先ず落ち着こうとコーヒーを一口飲み
テーブルに置く。

すぐ傍の便せんに目を留めて、
この問題も残ってた…と鼻で笑うと
すぐさまその便せんが視界から抜き去られた。

言うまでもねぇ。
書いた張本人によって、だ。


「見た!?」


赤くなったり青くなったり
コロコロ顔色を変えながら俺を窺う姿に


(いつもの洞察力はどうした…)


呆れて物も言えねぇ。

大体見られてマズい内容なら
こんなところに放置するなって話だ。


「見られちゃマズいのか?」


聞くまでもなくマズいんだろう。


「……………。」


返事までの時間が延びるだけ俺の苛立ちも増す。
後ろめたさを隠すように逸らされた視線に
洞察力だか動体視力だかしらねぇが
そんなんは一瞬で吹き飛んだ。


「普通、誰だって手紙は読まれなくないものだ
……と思う。」


もっともな言い分だ。
ただしそれは、その動揺を隠せていればの話だ。

目は忙しなく泳ぐ、顔は赤い
抑えているだろう呼吸はいつにも増して、浅いわ速いわ


決定的だ。


後になって思い返せば
勘違いも甚だしいと、自分に呆れる訳だが
この時はもう、自制がきかなかった。


「ハイリ……」


両手で髪ごと頬を包み無理やり目を合わせると
その目はまるで熱で濡れているみてぇだ。
誰を想ってそんな目をしてんのか
誰の為にこんなに頬を染めてんのか
考えたくもねぇ。


「お前俺に隠し事してねぇか?」


問いただすにも結構覚悟がいるもんだ
こんな事すら初めて知った。



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