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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第35章 【空色】勘違いパンデミック




声を大にして叫ばれた突拍子のないこの質問

今ここで
こんな言葉が出て来て
それが3週間以上も前の件だと誰が思うだろうか

当人なら話は別だ
記憶を遡れば一つしかないのだから

だが知らない他生徒はどうだろうか

あの事か?
それともまた噛んだのか!?

遠慮なく教室内はどよめいていく

何とも言えない空気を作り上げてしまった張本人は
ジタバタと一人もがいている

腕を回し
頭を振り
身を捩り

そして遂にするりと
爆豪の拘束から逃れることに成功した。

想像以上に早く、あっけなく


(あれ、思ったより簡単だった…)


もしかして私、出来る子…?

小首をかしげて振り返り
ハタと気付く
少女の瞳に映った少年は
先程の表情のまま固まっているという事実

徐々に変わりゆくその顔色に
たらり、ハイリのこめかみを汗が伝った


(もしかして…逃げない方が良かった?)


違う
言ってはいけなかったのだ

轟じゃあるまいし
そんな事を公言されて
平然としている男子高校生の方が珍しいのだ。

このクラスは本当に仲がいい
自分の所為でまた騒ぎになったら大変だと
そう思って逃げ出したハイリだが

どうやら自分が何かを間違えた事には気づいたようだ

教室内の異変が
予定していた逃走に歯止めをかけた。

青黒く固まる爆豪に
桃色に騒めき立つ女子生徒

赤黒く染まる爆豪に
青に冷めゆく男子生徒

桃色と青が合わさったその色は
爆豪の深紫より明るい紫、藤色

緋色の瞳を尖った前髪に隠したまま
獅子が…唸る


「ハイリ…もーーーチョイ、こっち来いや…。」

「ぇ…でも…。」


青から赤へと変えた顔色はついにその色味を無くし
影の色へと明度を落とす
その下の吊り上がってない目がなんとも恐ろしい。

一触即発
火種が爆薬に触れたら何が起こるかなんて
火を見るよりも明らかだ


「爆豪! 落ち着け!!」


出遅れたヒーローの卵たちがようやく今、動いた

忘れてはいけないこのクラス
何度も言うがヒーロー科
最高峰のヒーロー科

助けの手を伸ばさない人が居ない筈がない
ただちょっと相手が悪いだけ

相手が悪過ぎて
一歩声を掛けるのが遅かっただけなのだ。

これ以上二人を接触させるのは危険だ
クラスは体育祭を終えた今
初めて一致団結した。


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