第35章 【空色】勘違いパンデミック
「あ"? もう一遍言ってみろや…」
「…っだからよ、誤解なんだって全部っ!」
「ンだからァ…もっぺん、言ってみろや…」
「だから…ハイリちゃんは超絶勘違いしてて――…」
「ぁ"あ"!? もっぺん言ってみろやッ!!」
「―――っだから!
爆豪は轟の事を好きなんだと思い込んでんだよッ!
ハイリちゃんは!!!」
「ンだとコラ、クソ死ねッッ!!」
「声デケェよ! 聞こえちまうだろ!!」
HRを終えた1-Aの教室
その向こう側で意を固めた男が二人、錯綜する
キレッキレの爆豪を抑えつけ
真実を告げるは漢・切島
ただでさえ感情が逆立っている爆豪に立ち向かう
真の勇者
受ける爆豪はショックよりも怒りの方がデカいのか
はたまた、この現実を受け入れ難いのか
キレる、唸る、怒鳴るの3拍子
仕様もあるまいこの男
今まさに自分の想いをハイリに伝えようとしていたのだ
なのに何故
このタイミングで知らされるのか
いや、これはタイミングが良かったと言うべきなのか
爆豪だって馬鹿じゃない
馬鹿どころか「才能マン」と呼ばれる程に万能な男
仮にも主席合格者
受け入れ難くとも理解は出来ている
理解どころか納得も出来る
(変な奴だとは思ってたんだ…クソ。)
よくよく考えれば思い当たる節はある
まずはあの宣戦布告
あの時点で確認すべきだった
やたらと謝って来る
自分から逃げるどころか
轟との間に割って入って来る
違和感ならいくらでも感じてた
だがまさか…
まさかそんな勘違いをされていると
誰が思う…?
(あんっのクソアマ…ッ)
当然、怒りの矛先はハイリへと向けられた。