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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第33章 【空色】バイタルチェック




自分を誤魔化して緑谷くんに頼ろうとした
そんな自分に恥ずかしくなったと言った

結果、騎馬戦で勝ち上がって
お茶子ちゃんは今、フィールドに立っている

だけど

この試合は自分の力だけで頑張りたいって
勝って緑谷くんのようになりたいって

握りしめた拳は震えてたけど
自分に正直になった茶色の瞳はとっても綺麗で

そんなお茶子ちゃんを
カッコイイと思った。





























お茶子ちゃんの両手
五指の肉球がヒタと合わさった



“個性”解除



無重力状態の石礫に重が乗る


『流星群ー!!!』


だてにDJやってない
実況の比喩はまさにそれ

幾度の突進と同じ数の爆破に
抉り出されたたステージの欠片
数えきれない瓦礫の山が
まるで夕立の様に降りそそぐ

野次を飛ばしていた人も
囃していた人も
まるで水でもうったかの様に静まり返って
スタンドは不自然なくらい静かだった。

だって


――BooooM!!!


爆豪くんはそれを一撃の爆破で
粉砕してしまったのだから

襲い来る風に
目を閉じたのは私だけじゃなかった。


「っ…!」


観戦席の最後尾まで届いた爆風が私の髪を攫って乱す

スタジアム中を巻き上げる風に
よろけた身体は焦凍の腕に支えられた


「掴まっとけ、次来たらお前倒れるぞ?」

「大丈夫…次、ないから。」

「……は?」


はてなマークを携えて私を窺う焦凍に返す笑みは
きっとブラックコーヒーよりも苦い

こんな事を確信してしまう自分を
どうかとも思う

手毬の様に一度跳ね
風に引きずられていくお茶子ちゃんを見ながら
胸に渦巻く感情を整理した

あれだけの量の石飛礫を浮かし続けてたんだ
再び立ち上がった身体は
もう、立つのもやっとなはず

お茶子ちゃんの“個性”の容量なら
私も診て知ってるから

この後に来る現実を
わかってしまう

立ち上がったその小さな身体は
糸が切れたマリオネットの様に崩れ落ち
審判の声が響く。




「麗日さん…行動不能
二回戦進出、爆豪くん――!」




素直って本当に難しい

勇気を出した分
壁に当たった時の痛みは尋常じゃないの

でもどんなに震えたって
たとえ負けたって

それが一番
かっこいい姿なんじゃないかな。

だってお茶子ちゃん
今、やっぱりカッコイイもん。
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