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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第33章 【空色】バイタルチェック




(暑い…確かに熱い。)


暑いか
熱いか

どちらかわからない
知ってる筈だけど
ちょっと今…日本語がわからない。

よく考えたら凄い事した
よく考えなくても凄い事言った

そんなのは
我に返って初めて気付いた事だった

私を正気に戻したのは
やっぱり焦凍で


『お前、いい女だよな。』


髪を撫でられながら見上げた彼の目元は
右目を僅かに隠すその髪より赤かった

指に触れる体温は
ものすごく熱かった


(急に、赤面なんてするから…っ!)


焦凍はいっつも飄々としてて
真顔で恥ずかしい事サラッと言って
動揺すら中々してくれなくて

結構、この人の感情を乱してみたい
そう思って頑張ったことだってある

結果はいつだって玉砕だ
寧ろこっちが乱されるばかりだ

なのにっ
なのにっっ


(なんっで…こういう真面目な話をしてる時に限って
赤面するのっ!?)


その表情を一目見て息が詰まった
瞬きを一つ
たったそれだけの間に全身の血が頭に上ったみたいだ。


「あの…っ」


茹った頭を少しだけ上げても
見上げた顔はもっと上を向いていて
どんな表情をしているのか見えるはずもなく

それでも
髪から半分覗く耳はまだ茹で上がったままで

なんで
焦凍が赤面してるの

いつもみたいに平然としててよ
余裕綽々と笑っててよ
こっちの方が恥ずかしいよ

未だにじわじわ上がっていく熱は
両手で扇ぐ程度じゃ全然冷えなくて

意味のないその手もやがて動かなくなってしまう

泳ぐ視線の先で
知らない人と目が合った

そりゃ目立つよね
見られもするさ

気づいたのは私だけじゃなかった


「場所、変えるか。」


いつも強引な手が
控えめに私の手首を掴む

どうしちゃったのホントに
ものすごくぎこちない

狭い通路
前を行く焦凍に引かれるままついて行く

流れる空気に髪が揺れて
ふわり、頬にかかった

それがくすぐったくて
胸の中までくすぐったくて

なんだろうな
恋してるなって

こういう実感は
すごく大切なことなんじゃないかな。


「うん!」


今度は恥ずかしさの方が勝っちゃったけど
ホントはもう一回
大好きだって叫びたくなったんだよ

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