• テキストサイズ

【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第33章 【空色】バイタルチェック




「ハイリちゃん!?」
「やぁ、久しぶりっ☆」
「ここ居て良いのか!?」


駆けこんだスタンド
人数に対して圧倒的に余るその座席には
見知った顔が腰を下ろしていた

勢い良く飛び込んできたハイリに
声を張り上げながら駆け寄るクラスメイト

何故ハイリが居るのか不思議なんだろう。

今日少女が体育祭に不参加だと言う事は
クラス全員が聞かされた事

察したハイリはニコリと笑った。


(まず、説明…かな?)


まるでお化けでも見るかのような目は
本日2度目だ。

1度目は苦笑が漏れたが
今はそれさえも嬉しい
例えまだ距離はあろうとも、一歩近づけた
ただそれだけが枷を外すのだ。


「えっと、参加は出来ないけど
応援はしても良いって!」


宣言したはかりの心は想像以上に軽やかだった。
もっと早くすればよかったと
そう思うほどに。

だけど違う
これまでの過程があったから今がある。
そう理解しているハイリに
この場で告げない理由はない


「でね、皆に聞いて欲しいことがあるんだけど…。」


全員が揃ってる訳じゃない
一番に告げたい人だって居ない
だけど今、伝えたい

はにかむ頬は柔らかに
合わせた掌を鼻先に付ける仕草は
まだ幼い少女の様

上目づかいで集まる視線を見渡し
緩めた口で小さく息を吸う



宣言とは覚悟じゃない

道しるべだ



「私、A組に編入する事に決めました。
今更だけど、よろしくお願いしますっ!!」



勢い良く下げた頭
髪が流れその頬を隠した

その髪を静かに払いながら上げた頬は
あの日咲き誇っていた桜と同じ色。


同じなのに違う


奇妙な既視感を受けた一同は
言葉をかけることも忘れその表情に魅入っていた

同じ人なのに
まだ、あの日から一月程しか経っていないのに

一体この二週間で
ハイリに何があったのか?

それはその場にいた爆豪も等しく
いや、皆以上に感じ取っていた

詳細はわからずとも
表情が別人のように違う

今まで曇っていたなど思ってなかった
だけど今なら思う

今までの表情は
全て膜一枚隔てた虚像だったんじゃないかと


(なんかあった…
恐らく、轟との間に。)


とにかく気になった

それだけの理由で
爆豪はハイリの腕を引いた。


/ 804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp