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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第32章 【空色】KT 1℃


~Side轟~


控室までの道中
ハイリは一言も話さなかった

ずっと地に視線を止めて
俺の後ろを歩く

問えば「目立っちゃいけないの」だと
どうやら俺と居ると目立つと思っているらしい。


(一人でも十分目立つと思うが…。)


こんなに綺麗な女そう居ねぇだろ
言ったところで聞きやしねぇ


「焦凍の可愛いは、嬉しいけど真に受けちゃダメなの。
あと、お父さんとか、ちよちゃんとか…」


指折り数えていく人の名は
俺が把握している限り全員ハイリの保護者だ。


(親父さん以外、全員ここの教師じゃねぇか…。)


控室のドアノブに手を掛けながら
何気なく浮かんだその考えにふと手が止まる

無論、確認の為だ

振り返れば不服そうに指を折っていくちっこい犬。

子供扱いしないで欲しいと顔に書いてあるが
こんな様を見せられりゃそりゃ無理な相談だ

思わず保護者一同に同情したくなった

今はそこじゃねぇ…


「まさかお前、俺まで保護者だと思ってねぇよな?」

「思ってないよ!焦凍はね…」


うーんと唸る小さな間
溜めて投げられた言葉に
一瞬面食らった


「初めて好きになった人!!」


胸の前で手をパンと打ちコロコロ笑う

何も考えてねぇのか
計算して言ってんのか

最近のハイリの変化と
自分の変化に理性が追い付かねぇ…

何でこいつはいつだって
俺の頭ン中を見透かして
その上で最善を選択したような言葉を
ぽんぽんと投げつけてくるんだろうか

熱で回転が落ちていく頭

サラッと出てきた一言に
手を掛けたばかりのドアは勢いよく開き
それ以上の速さで閉じられた。


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