第31章 【空色】タヒる…
~Sideハイリ~
自尊心の強い彼の事だ
ハチマキを取られたとあっては
怒るのも仕方がない
だけど怒っているというよりあれは…
(キレてる…。)
吊り上がりきった三白眼は
赤に染まって眼が見えない程
ゴオォと紅蓮を滾らせるあの様を見れば
彼が人を噛むのに理由なんか必要とするだろうか?
なんて思われそう。
というか
実際私も思った。
でも彼がどういう人か知っている今
それはちょっと通用しない理屈だと思う。
いつも怒ってるけど
意外なことに、結構世話焼きで
口は悪いけど
なんだかんだと優しくて
どっちかって言うと迷惑かけてるのは私の方だし
下手したら慰められる時だってあるし
この前だってマック付き合わせちゃったし
あ、そうだ
この人の怒ってるは
怒ってるじゃないんだった。
じゃぁ何故噛んだ?
(噛んだ理由が…わからない。)
悪態をつかれる理由は明白だ
だけど噛まれた理由だけがわからない
爆豪くんは意味なく
そんなことする人じゃない
噛まれた時
怒ってすらなかったよね…。
(あれ……わかんなくなってきたぞ。)
一つ計算を間違えると
その後ろの数字は全て躍る人形だ
いくら計算を続けたって答えにはたどり着けない
おかしいと気付いたって
どこからおかしいのかがわからなきゃ
修正の仕様が無い
ぼんやりとフィールドを目に映しながら
暗号と化してしまった相関図を
賑わうそこに描く。
なんで爆豪くんは噛んだのか
なんとなくだけど
ここが…解決の糸口な気がする
(よし、直接本人に聞いてみるか。)
第二種目
時間はもう
残り半分となっていた。