第31章 【空色】タヒる…
~Sideハイリ~
騎馬戦…見たい、もちろん見たい
だけどこっちはこっちで放置できない
わかってるのはただ一つ
この話が終わらないと
集中して見ることが出来ないって事。
だから…
私は耐えた
すごく、頑張った。
「二位くんと付き合ってるんでしょ?」
「うん、轟ね、轟焦凍。」
「じゃあなんで1位くんに噛まれんのさ。」
「うーんと…私が逃げたから、かな?」
「それ、2人っきり?」
「いや、教室前の廊下で。」
「はっ!?2位くんは?彼氏は怒らなかったの?」
「轟だってば!……すっごく怒った。」
「そりゃ怒るよ…浮気じゃん。」
「うわ…き…それはないっ
爆豪くんの好きな人、焦凍も知ってるし!」
「も?1位くんの好きな人ってハイリじゃないの!?」
「うん違う、私じゃない、私も誰か知ってる。」
いつまで経ったって焦凍の名前覚えてくんないし
爆豪くんの呼び名は紛らわしいし
代わる代わる責め立ててくるしさ
恋バナってもっと楽しくするものでしょ?
なのにこの尋問ったらない。
極め付けが
「じゃあなんでハイリが噛まれるのよっ!」
「それはー…」
これだ。
言える訳がない
恋敵だから…なんて
そんな事
言える訳がないでしょう
だけど言葉にする為には
一度頭の中で整理しなきゃならなくて
今まで誰も追及してこなかったから
それをするのもこの時が初めてだった
だってあの時そんな事考える間も無かったし
その後の焦凍のキスの方が衝撃強くて
忘れてた…って訳じゃないけど
誰も触れてこなかったし
焦凍すら追求しなかったし
(まず、爆豪くんが焦凍の事を好きで
それから…その焦凍と私が付き合ってるからで…)
相対する理由ならしっかりあった
私、宣戦布告したくらいだし
嫌いだから?
邪魔だから?
見下ろすフィールド
私の頭を悩ませている張本人は
今、見るからに怒っている
どうやらB組の騎手に
ハチマキを取られたみたい
見る見る怒りを露わにしていくその様を見ながら
(しまった、やっぱ見とけばよかった。)
自分の意識をどこにどう置けばいいのか
わからなくなっていた。