第31章 【空色】タヒる…
~Sideハイリ~
(目つきで言うなら焦凍だって悪いか…。)
これだけ離れていれば視線はずらさずとも
焦点を変えるだけで彼の姿は納まってしまう。
さっきから視界の中で目立ってしょうがないのは
彼の頭がおめでたい色だからってわけでも
私の目が良いからってわけでもないんだろう。
きっとどんな色でも
例え目が悪くたって真っ先に見つけちゃうんだろう。
良く考えたら
こんなに遠くから焦凍を見るのは初めてだ
そしてやっぱり目つきが悪い。
(それでもカッコイイんだけどね、うん。)
だけど目つき悪いのは
何もその3人だけじゃなくて
しかもその数は尋常じゃなくて
更に言うと
その鋭い視線は一人に集中している
緑谷くんだ
「ね、この騎馬戦
どんなルールなの?」
見上げた電光掲示板
順位と振り当てられたポイントを辿りながら
隣に座る子の腕を引く
しまった
もう少し急いで来れば良かった
なんて内心苦笑中だ
1位 緑谷出久 10,000,000Point
2位 轟焦凍 205Point
3位 爆豪勝己 200Point
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ルールなんて
このポイントを見れば
聞かなくてもなんとなく想像はついた
ついたんだけど
順位を形として見てしまっては
確認せずにはいられない。
(二位…そりゃそうだよね
緑谷くんが一位だったわけだし。)
自分の劣等感から緑谷くんを応援した
彼が一位になった事を喜んだ
そんな罪悪感が押し寄せる
こんな事実
バレた暁には絶対傷つけてしまう
だから、ここからはちゃんと焦凍を応援しようって
だけどどうなんだろう
仮にあのまま焦凍が一位になったとして
根本的な解決になるのかなって
頭の中では沢山の私が議論中だ
だけどたった一つだけ
皆共通の思いがある
焦凍…
自分と緑谷くんを
エンデヴァーさんとオールマイトに
重ねてなきゃいいけど……。