第30章 【空色】親拍数
最終関門
一面地雷原 怒りのアフガン
『後続もスパートかけてきた!!!
だが引っ張り合いながらも……』
プレゼント・マイクの叫びは
ハイリを含む全国の視聴者の視線を
画面へと導いた。
『先頭2人がリードかあ!!!?』
エリアの側面には
danger minesと書かれた看板
中央の髑髏マークが警告するかのように口を開ける
何を警告しているかだって?
一見何もない平地に身を潜める
おびただしい数の地雷だ。
轟く爆発音
大きく上がる薄桃色の煙
これを見て
少女が表情を固めない筈がない。
その表情はもう
誰が見てもわかる程
青ざめた頬が引きつっていた。
「地雷って…
ちょっとやり過ぎじゃ…っ」
「安心おし、威力は大したことないよ。
音と見た目が派手なだけさ。」
掠れた声に
リカバリーガールがすかさず事実を返す。
ここで言葉を間違ってでもみろ
ハイリは絶対ここに居座ってしまう
今は
一刻も早くこの部屋から出さなければ
老婆は考えた
ハイリをこの部屋から出す有効的な手段…
(やっぱりこの子だろうね。)
画面の中でトップを争う少年を
細めた目で見やる
爆破せんと繰り出される爆豪の手を弾く轟が
氷を纏う右手で爆豪の腕を掴む
ステップでも踏んでいるかのように
器用に地雷の隙間を縫って駆ける二人に
ハイリの視線も心も釘付けだ。
今の少女には
これが一番の有効打だろう。
もう、迷いを握りつぶす事に
躊躇いはなかった。