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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第30章 【空色】親拍数




ズン…と現れた第一関門、ロボインフェルノ

一般入試用の仮想ヴィランの群を前に
初めて足を止めた轟は
深く腰を落とし
右手をヒタと地に付けた。

自らの氷が巻き上げる風に煽られながら
その右手をビル程もある巨大なロボットへと振り上げる

その姿に目を見張った者も居ただろう

爆風とも言える風に二色の髪を乱す後ろ姿

その向こうを見れば氷づけられた鉄の塊が
口を開いた門のように固まっている。


「わ…ぁ。」


それは画面の前に居るハイリも同様に
開いたままの口を閉じることも忘れ固まった。

瞳に宿すは羨望と憧憬

その様はもはや
恋人と言うより
一人のファンだと言って良いだろう。

氷の割れる音と共に
重い音を響かせ崩れゆくロボットの姿に
その向こうへ一人駆け抜ける轟の姿に

ゆっくりと目を細めていき
感嘆の溜め息をつく

そしてぽつり
決して叶わない願いを零した。



「参加、したかったな。
一般入試、ちゃんと真面にやっとけばよかったのかな。」



願いに沿う言葉は
老婆の脳内を
いくら探せども出てこなかった。

少年の影響はかなり大きいと見える

独り言ちる少女の横顔に
リカバリーガールが掛けるのは
答えでなく、問い。


「参加したとして、予選は通過できんのかい?」

「んー…他の科次第だけど
ギリ、いけるかいけないか…じゃないかな?」


まだ伏せられているはずだが
ギリ…という辺り
何位までが通過か予想は出来ているのだろう

ギリギリ通過
ハイリの自己評価は
自分のものとそう変わらない


「そうだね…。」


但し
能力面だけで言うならば…

後に続く言葉を飲み込み
リカバリーガールは静かに首を横にふった。


(だがね、お前はきっと最下位だよ。)


ハイリは自分を見誤っている
肝心なところを見落としている

少女が殆ど自覚していないそれは
本来なら讃えてやってもいい程の物

少女の精神面だ。


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