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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第30章 【空色】親拍数




先日、校長から受けた指示





『ハイリを来賓の目から遠ざけたい…。』




これによってハイリに理不尽を
押し付ける結果となってしまった。

校長の指示の向こう側に
どんな意図があるかは聞かされなかったが
尋ねるまでもない
ハイリから何か秘密を引き出したのだろう。

その上での指示
ならばそれに沿うべきだ

不合理だろうが理不尽だろうが
それが自分の役目なのだから。




『いつも申し訳ないと思っているよ。』




そう言葉を添えて頭を下げた校長に
何を言えようか

まだ幼い少女の憎まれ役を買って出たのは
他の誰でもない
自分だというのに。


(また一つ、嫌われたな。)


しゅんと肩を落としてしまったハイリに
相澤は苦く笑う。

元々愛想が良いとは思ってない
子供に好かれるキャラじゃない

ならば自分が適任だと買って出たこの役目

子供の頃はそれなりに

年を経るにつれ厳しさは増していった
その自覚もある。

特に中学の3年間は
いつ縁を切られてもおかしくないほどに
ハイリの多感な時期をヒーローと言う名の
単一カラーで埋め尽くしてしまった。

甘えは他に向ければいい
自分が厳しければ厳しい程に
他からの優しさは際立って行く


それが自分の役目


いつしか少女が自分に向ける
表情までもが単一に

だが
ポスターカラーを
チューブから直接ベタ塗りしたような表情に
胸が痛まない筈がなかった……。


(それが今はどうだ…)


今のハイリにそんな表情は
どこを探しても見当たらない
不満を隠す気も無く顔に出すだけに留まらず
口にまで出している。


「出たかったんだもん
楽しみにしてたのに。」


決して笑顔ではないが
おずおずとこちらを窺いながら文句を垂れる顔には
様々な感情の色が見える。


この程度の痛み
あれに比べりゃなんてことはない。


(本当に昔に戻りつつある
選択は、やはり間違ってなかったようだ。)


慣れきってしまった痛みに
相澤は静かに笑い目を閉じる

タイミング良く途切れた実況が
自分の今日の役目の終わりを告げているようだ。

ついた息は安堵から

隣に座るプレゼント・マイクの視線に気付いた男は
やっと休めると
用意されているペットボトルへ手を伸ばした。

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