第30章 【空色】親拍数
麗らかな晴天に
祭りを報せる色とりどりの花火が上がる。
『群がれマスメディア!
今年もおまえらが大好きな高校生たちの青春暴れ馬…
雄英体育祭が始まディエビバディ
アァユゥレディ!!??』
雄英体育祭
本番当日
響く声は高らかに
実況席に座るは、プレゼント・マイク
その隣には少々不機嫌なA組担任、相澤消太
『雄英体育祭‼
ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る
年に一度の大バトル‼』
その顔の包帯は今だ健在
相変わらずのミイラ化状態
だが不機嫌な理由は怪我ではない
巻かれた包帯のもたらす不快感でもない
無理矢理実況席に解説役として引き込まれた
勿論それもある
それもあるが…
『どうせてめーらアレだろ
こいつらだろ‼?
ヴィランの襲撃を受けたにも拘らず
鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星‼‼』
実況席の後方
ミイラマンより遥かに不機嫌を露わにし
蹲るように座る少女
(ご立腹だな。)
ハイリだ。
『一年!!!
A組だろぉぉ‼?』
揚々と盛り上げるマイクの隣で
その少女の不満をひしひしと感じとった相澤は
包帯で殆ど伝わらない表情に苦みを上乗せした。